刑事だった父の跡を継ぎ、警視庁捜査一課の刑事となった如月塔子。
小柄で可愛い。しかし男並みのガッツがあるがんばり屋だ。
先輩の鷹野警部補からは少し休めと言われることもある。
ある日、モルタルで石像のごとく固められた変死体が発見された。
現場には犯人の遺留品と思われるものが遺されていた。いくつもの謎が残る事件現場。
そして翌朝、愛宕署の捜査本部に犯人から電話が入る。交渉相手に選ばれたのは、なぜか如月塔子だった。
自らヒントを提示しながら頭脳戦を仕掛ける知能犯。そして警察を愚弄するかのように、第二の事件が起こってしまう。
やがて二人の被害者に共通点を見つけると、捜査は前進。
しかし犯人はしきりに警察の無能さを強調するのだった。
捜査本部で集めた情報を積み重ね、分析、検証し、犯人と殺害動機を絞り込んでいく。
やがて特捜本部は事件の真相を暴き、犯人逮捕へと動き始めた。
しかしそれは、殺害計画から綿密に計算しつくされた犯人の罠だった・・・・。
この作品の二転三転する怒涛の展開に、何度も度肝を抜かれる。
犯人との直接対話、いくつもの伏線、事件の捜査過程はまるで本格ミステリの謎解きのように感じられる。
この作品は、チームワーク重視の警察組織小説であり、如月塔子刑事を名探偵に仕立てた本格ミステリ小説でもあるようだ。
事件の意外性と本格ミステリの謎解きをを思わせる事件捜査、そして魅力的な女性刑事の成長が楽しみな、凄い警察小説シリーズの登場です。
『石の繭 警視庁殺人分析班』
著者: 麻見和史
出版社:講談社
価格:¥695(税別)