どこまでも翻弄される!?「だから、ダスティンは死んだ」P・スワンソン

「時計仕掛けの恋人」「そしてミランダを殺す」
「ケイトが恐れるすべて」「アリスが語らないことは」
など、著者の描くミステリー作品は予測不能で
読者はいったいどこへ連れていかれるやら…。
とドキドキしながら読み、驚愕のラストでがつん!
とやられてしまう展開が癖になる作品ばかりで
新作が発売されるとつい、読みたくなってしまう。
しかし、この作品「だから、ダスティンは死んだ」
は、最後に「がつん」とくるのではなく、「がつん」
の連鎖が半端ない!

ボストン郊外の閑静な住宅街へ越してきた
ヘンリエッタと夫のロイドは、隣に住む
マシューとマイラ夫妻とすぐに打ち解け、
食事に招待された。

食後、マシューの書斎へ案内された時、
ヘンリエッタは眩暈を覚えそうになる。
それは、二年半前のダスティン・ミラー
殺人事件で、犯人が被害者宅から持ち
去ったとされる置物を目にしたからだった。

見間違いかと思ったが、翌日口実を設け
もう一度マシューの部屋に案内をしてもらった。
しかし、その置物はなくなっていた。

昨日のヘンリエッタの態度で、マシューに
気づかれ、置物を隠したのだと確信した
ヘンリエッタ。彼は殺人犯に違いない・・・。

それから、ヘンリエッタはマシューに
ついて調べ、彼につきまとう。
警察にも通報するが、逆にヘンリエッタは
隣家から接近禁止命令を受ける羽目に・・・。

次々と「えッ?何で?」と首をひねりたくなる
ありえない展開が続く。
そして、複数目線で語られる物語は、
読み進めると誰の目線なのかわからなくなり、
まるで迷宮に入ったかのような錯覚に陥る。

この展開は、著者にしかできない。
真相は暴かれたにも関わらず、その先に
まだ隠された何かがあるのだ!

これだから、スワンソン作品は止められない!
著者の作品は、中毒性を持っている。
一度はまると抜け出せない。
超絶サスペンスミステリーなのだ!

『だから、ダスティンは死んだ』
著者:ピーター・スワンソン
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥1,210(¥1,100+税)