小玉・文林、二人はどうなる!?「紅霞後宮物語 第零幕三 二人の過誤」

大好きなシリーズ、『紅霞後宮物語』シリーズ外伝
『紅霞後宮物語 第零幕』。若き日の小玉と文林の
物語ですが、第3巻目に突入。

武官として順調に昇進してゆく小玉。
新たな人たちとの出会い、初恋の人との
再会、愛する兄の死・・・。
小玉の環境はめまぐるしく変化していった。

そんな中、小玉と文林は上官と副官として
息が合い、良好な関係を保っていた。

しかし、小玉にまたも異動の辞令が下る。
行先は小玉の実家にも近い僻地だった。
それは、左遷ではないのか・・・?

小玉の突然の異動と、それが左遷であると知った
文林は、怒り狂って大酒を喰らってしまう。
一緒にいた小玉は、文林の怒りをなだめようと
するが、一緒になって飲んでしまう。

そして翌朝、二人は全く記憶のないまま同じ
寝台で目を覚ましてしまった・・・・!

あってはならない、上司と部下の過ち・・。

そのことがあってから、二人に関係は急激に変化し・・・。

小玉にとって、さらに試練が続く第3巻。
読んでいると切なくなってしまう。

このあと二人はどうなるのか?
早く続きが読みたくなる!

『紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤』
著者:雪村花菜
出版社:KADOKAWA(富士見L文庫)
価格:¥600(税別)

今野敏さんの本格的インテリジェンス小説「キンモクセイ」は緊張感が半端ない!

今野敏さん新刊「キンモクセイ」は本格インテリジェンス
警察小説ということで、ワクワクしながら読みました。

法務官僚の神谷道雄が殺された。

警察庁警備局の隼瀬は、神谷が日米合同委員会に関わって
いたことと“キンモクセイ”という謎の言葉を
残していたことを探り当てる。

そして、神谷殺害事件について専任捜査を命じられる
隼瀬だったが、警視庁は突如捜査本部を縮小、さらに
公安部も手を引くことになった。

やがて、隼瀬の協力者で後輩の岸本行雄の自殺死体が発見される!

コードネーム「キンモクセイ」をめぐる「闇」と
日米合同員会の不可解な動き、そして公安組織「ゼロ」の暗躍・・・。
一体何が起こっているのか?

隼瀬は、同僚の水木とともに事件の真相を探ろうとするが・・・・。
触れてはならない「なにか」に触れたことで追われる隼瀬。

誰を信じていいのかわからない。しかし自らの命を守るため、
何が出来るか?をつきつめ、命をかけて警察官として
正しいことを成そうとする、隼瀬の姿が胸を打つ。

隼瀬逃亡の過程は、ハラハラドキドキもので、
無事に事件が解決することだけを祈ってしまう。
また、警察官僚として隼瀬が成長し覚悟してゆく過程も素晴らしい。

緊張感MAX!手に汗握る
著者初の警察インテリジェンス小説!

『キンモクセイ』
著者:今野敏
出版社:朝日新聞出版
価格:¥1,600(税別)

傑作!ホラー短編集『などらきの首』

澤村伊智さんのホラー短編集『などらきの首』
は、霊媒師・比嘉姉妹シリーズ最新作。
「ゴカイノカイ」「学校は死の匂い」「居酒屋脳髄談義」
「悲鳴」「ファインダーの向こうに」「などらきの首」の
6編のホラー短編作品を収録。

どれも面白かったけれど、特に心に残ったのはこの3編。

父親から譲り受けた不動産で、「痛い、痛い」と謎の声
が聞こえる、さらに体に激痛が!その不動産の5階の
怪異現象に、人が居つかず。持ち主はなす術もない。
一体何が起きているのか?「ゴカイノカイ」

居酒屋で男どもが語る、「脳髄論」?
酒を飲みながら、男どもが偉そうに語っている。
いいかげん、うざいな~と思って読んでいたら
ラストで思い切りぶっとんだ!
思わずざま~みろ!でした・・・。「居酒屋脳髄談義」

祖父母の住む地域に伝わる「などらき」という化け物。
子どもの頃に意地悪な従弟に無理やり連れられ、
などらきの首が封印されているという洞窟に行った。
あるはずだった首は忽然と消えていた。高校になって
同級生の野崎と共に「首」消失の謎に挑むが・・・。
野崎初めての事件を描く!化け物の恐ろしさがひしひしと
伝わる・・・。怖かった。「などらきの首」

「学校は死の匂い」は小学校時代の比嘉姉妹が学校で続く
不気味な現象の謎を暴くというもの。
「悲鳴」はホラー映画にまつわる物語。
「ファインダーの向こうに」は心霊写真に絡めたちょっと
切なくなる物語。

どれも、背筋がす~っと冷たくなる感じ。
怖さの表現が上手すぎる!

真琴と野崎の出会い、琴子の学生時代などメインキャラクター
のエピソードが満載の短編集。

『などらきの首』
著者:澤村伊智
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥640(税別)

心に沁みる物語「ひとつむぎの手」

知念実希人さんの「ひとつむぎの手」(新潮社)を
読みました。
読んでる途中で何度も目頭が熱くなりました。

優秀な心臓外科医を目指す平良は、
常に患者やその家族を思い治療にあたっている。

医学部内の権力抗争に巻き込まれることなくただ愚直に働く姿は、
上司・同僚や後輩、患者、さらにその家族からも篤い信頼を得ている。
しかし夢の実現のために心臓外科手術が数多く出来る
病院の出向を心底願っていた….。

平良は、3人の研修医を心臓外科の医局に入れることが出来たら、
その病院への出向を考えても良いと言われた。
その下心を隠しつつ3人の研修医に接するが、
あっさりと見破られ侮られてしまう。

しかし、平良の真摯に患者に接する態度や、
教授に媚びることなく患者のための手術を選ぶ事ができる決断力、
緊急時の冷静な処置などを目の当たりにした研修医たちは、
やがて、平良に対し尊敬の念を抱くようになる。

だが、平良は、一人の後輩に激しい嫉妬心を抱いていた。

読んでいて、平良の気持ちは痛いほど伝わってくる。
認められ夢を実現させたいとの思いが叶うかどうかの
焦燥感、そして嫉妬心。

心に広がるどす黒い闇に、時に飲み込まれそうになる。
そんな心に勝てるのは、自分自身だ。
平良がそれを悟った時の清々しさは、まるで自分が経験したかの
ような感じがした。

ミステリーチックな展開もあるが、医者としての平良の生きかたや、
心の成長が描かれた、素晴らしいヒューマンドラマだ。

『ひとつむぎの手』
著者:知念実希人
出版社:新潮社
価格:¥1,400(税別)

新シリーズ始動!事件を呼ぶ男、ベテラン刑事・岩倉剛

大好きな「アナザーフェイス」シリーズが完結し、
ちょっとさびしい思いをしていたら、新シリーズ
始動です!
定年まであと10年のベテラン刑事・岩倉剛シリーズ。
渋い警察小説!ワクワクです。

定年まであと10年と迫った、ベテランの刑事、
岩倉剛は、捜査一課から南大田署へ異動になった。

上司は年下で元部下というベテランではありがちな
パターン。挨拶もそこそこに、同じ頃配属された
元交番勤務の女性刑事・伊東彩香を相棒に充てられ、
二人で管内を巡回、そこに独居老人が殺されたと
連絡が入った。

捜査本部のたつ重大な事件が起きないところを望んだ
はずだったのに・・・・。
岩倉が行く先々で事件が起きる!

伊東と二人で捜査に加わったところ、今度は
新聞記者の自殺が発覚する!
二つの事件に関連はあるのか?

プライベートに何かと問題を抱えた岩倉。
定年まであと10年というところで、心機一転、
所轄へと異動した。
そこで彼は後輩刑事に刑事のイロハを教える。
それを実地でこなしながら、事件解決に向けて動く。

暑苦しいイケイケの刑事が多い中、岩倉の
力みのない感じが良い!また後輩に気を遣う
ところなど、人間味あふれた岩倉の魅力に
はまってしまう。

今後、どんな事件を呼び込んでくるのか?
また、彼の突出した記憶力が事件解決にどう繋がるのか?
読むのが楽しみになる!

すでにシリーズ2作目が2019年3月に発売予定!

『ラストライン』
著者:堂場瞬一
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥750(税別)

杉村三郎シリーズ最新刊『昨日がなければ明日もない』面白過ぎる!

宮部みゆきさんの「昨日がなければ明日もない」を読みました。
「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」「希望荘」と続く
杉村三郎シリーズ第5弾の最新作です。
何年か前に小泉孝太郎さん主演でドラマ化された作品。

巨大コンツエルン会長の娘婿・杉村三郎は、
劇的に人生が変わり、探偵事務所を開くことに。

この作品は、杉村が探偵になってすぐに転がりこんで
きた事件を描いた。
「ちょっと困った女たちVS探偵・杉村三郎」。
読み応えたっぷりの中編3作品が収められている。

嫁いだ娘と連絡が取れなくなり杉村に相談してきた初老の婦人。
調べてみると、とんでもなく嫌な事件に繋がってゆく。

杉村が借りている事務所兼住居の大家さん家族につきあって、
結婚式に出席するとそこで信じられない事件が勃発・・・。

大家さんの息子一号のお嫁さんのママ友に、
身勝手なことばり言う女性がいる。
その女性が杉村に困った相談をしてきた。
一号夫人から絶対に相談を受けるなと止めらていたが、
結局話を聞くはめになってしまった・・・・。

ここに登場する「困った女性たち」は身勝手な女性ばかりだ。
自分の利益しか考えない。
責任転嫁ばかりをした末に、次々と悲劇の連鎖を起こす。
自分のやったことがどういうことになるのか
想像すらできない女性たちだ。

自覚のない「悪意」が不幸をまき散らす。
救いようのない女性たち。
そんな女性たちを著者は淡々と描きだす。
読んでいると背筋がす~っと冷たくなってゆくが、
探偵・杉村の優しさと温かさがこのあまりにも悲劇的な
展開の中で唯一の救いとなっている。

面白過ぎていっき読みしてしまった。

『昨日がなければ明日もない』
著者:宮部みゆき
出版社:文藝春秋
価格:¥1,650(税別)

驚嘆!「密室」のトリックを暴く『密室蒐集家』

「アリバイ崩し承ります」で大山誠一郎さんの
作品にすっかりはまってしまい、「赤い博物館」と
その次に「密室蒐集家」を読みました。

凄い!「密室」トリックのオンパレード。
これを考え出した著者も凄い!

女学生がカーテンの隙間から音楽教師が射殺
されるのをを目撃する!
鍵のかかった教室から犯人はいかにして消え失せたのか?
「柳の園 1935年」

警察監視下の家で発見された高校生男女二人の死体。
他殺なのか?であれば、犯人はいかにして侵入し、
逃亡したのか?
「少年と少女の密室 1953年」

男女二人が目撃した落下する女性。
実は密室から落ちた死体だった!
「死者はなぜ落ちる 1965年」

密室に横たわっていた死体の胃に「鍵」が…?
「理由ありの密室 1985年」

病院で、女医が殺害された!嫌疑をかけられたのは、
自殺未遂し、その病院に入院していた女性。
しかし彼女は眠り続けていた。
「佳也子の屋根に雪ふりつむ 2001年」

警察の間では伝説となっている「密室蒐集家」。
解明困難な密室の事件が起こると、どこからともなく
現れて、密室のトリックを鮮やかに解いて煙にように
消える・・・・。
「密室蒐集家」という人物設定にまず度肝を抜かれる。

しかも「密室」という本格推理ファンには垂涎の
テーマ。どの作品のトリックも凡人にはおよそ
想像だに出来ない!

斬新なトリック、予想をはるかに超える犯人像。
それを「密室蒐集家」が論理的に分かりやすく
説いてゆく。
その解明の過程が非常に面白過ぎる!!

様々に仕掛けられた「密室」トリックを
これほど堪能できる作品はないかもしれない。

『密室蒐集家』
著者:大山誠一郎
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥660(税別)

羽州ぼろ鳶組第2弾!『夜哭烏』に泣ける。

シリーズ第一弾「火喰鳥」があまりにも面白く
鮮烈に心に刻みつけられたので、第2弾も
読みました。

出羽新庄藩の火消し頭取となった、松永源吾。
彼のもとに集まった。個性豊かな火消たち。
江戸の庶民を大火から守るため、命がけで
働く男たちに胸が熱くなります。

第2弾の物語は・・・。
火事が起きた時、火元に近い大名家がまず
太鼓を打ち、それを聞いたあと町火消が
半鐘を鳴らす。それが江戸の火消のルールだが、
明らかに火事が発生しているのに、大名火消が
太鼓を打たないという奇妙な事件が相次いで
起こっていた。

現在では信じられないルール。
しかも早く太鼓を打てと督促されているのに
太鼓を打たないなんて、庶民を見殺しにするの!?
火事が起こっても町人は手が出せないなんて…。

松永率いるぼろ鳶組は、そのルールを越えて火消に
奔走した。そんなぼろ鳶組みの姿に他藩の火消たちも
黙っていない!彼らもぼろ鳶組に従った。

火事が一段落したあと、なぜ太鼓を打たないのか
調べてみると、彼らには太鼓を打ちたくても
打てない事情があり、その背後には何者かの
恐ろしい陰謀があることが判明する…。

そして、その悪の手は「八咫烏」の異名をとる
江戸一番の火消、加賀鳶を率いる大音勘九郎を
襲った!父を江戸髄一の火消しと信じる、大音の
娘がさらわれたのだ。出動を妨害される大音。
娘の命をあきらめ、江戸を救う!大音の火消と
しての矜持を全うしようとする心意気に
身体が震えるほど感動した松永は、大音一家を救い、
卑劣な敵を止めるため、部下とともに闘う決意をするが…。

松永の妻・深雪を始め、愛すべきぼろ鳶組の
面々の命を張った活躍と、火消たちの戦いぶり、
そして悪との対峙に、ワクワクが止まらない!
最高級の江戸時代エンターティンメント!

『夜哭烏 羽州ぼろ鳶組』
著者:今村翔吾
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥680(税別)