いよいよ映画公開!恐怖のホラー小説「残穢」

家に置いていたら、呪われるかも知れない・・・・
と言われる、読んだら本当にそう思うほど怖い、
ホラー小説「残穢」。
映画化されるということでどんな映画になるのか?
期待大です!いよいよ1月30日に公開となります。

残穢文庫

ある日、ホラー作家の元へ届いた怪奇現象を伝える手紙。
前に「怖い話」を募集したことがあるが、それを覚えていた
ファンの女子大生からの手紙だった。
それには、自分が住んでいるマンションの和室で
奇妙な音がする。何かが畳をさ~っとこする音。
最初は音だけだったものが、和室の暗闇に目をやると
何か長いものが揺れているのが見える・・・・との内容。
作家はその内容に既視感を覚え、以前ファンから集めた
「怖い話」を探す。そして似たような話を見つける。
二つ手紙の住所を見ると同じマンションだとわかる。
同じマンションの別の部屋で怪現象が起こっていた・・・・。
作家は、手紙をくれた女子大生とともに怪異の大本を辿ることに・・・。

怪異現象のシーンは読んでいるときそんなに怖いと思わなかった。
それは多分、はまさきが想像力に乏しいから・・・?
想像力の逞しい人は、きっともっと怖かったはず!
映画の予告動画を見るとめちゃめちゃ怖いじゃないですか?!
ものすごく原作に忠実に描いてあり、うわ~っと思ってしまいました。

さらに、映画の出演者がその怖さを盛り上げています。
主人公のホラー作家を竹内結子さん。女子大生を橋本愛さん。
この美しいお二人が恐怖におののくシーンがどんだけ怖いの?
と思った。多分演技ではなくリアルに怖かったと思います。
ほんとにお疲れ様と言いたいくらい。
予告編だけでこれだけ怖いので、本編は覚悟をもって観に行かなくては!

原作も覚悟をもって読んでほしい。
映画を観てから原作を読むと、恐怖が2倍になります!

『残穢』
著者:小野不由美
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥590(税別)

「クランⅡ」いよいよ始まる!密命チームVS警察閥との闘い!

警察の暗部を抉る、スケールの大きな警察小説
「クラン」シリーズ。
第1弾では、警視庁捜査一課の晴山警部補が密命チームに呼ばれる。
警察の正義をただすため、命懸けの任務を負うことに成る!

そして第2弾のサブタイトルは、「警視庁渋谷南署・岩沢誠次郎の激昂」だ!
管轄内の市民の安全をひたすら願う、若き巡査、足ヶ瀬が銃撃されたことで
岩沢の正義の心に火がつく!

これ以上、警察官の犠牲者は出してはならない!
岩沢は自らの判断で行動を起こす。

クラン②

前作で、千徳光宣警察庁長官官房首席監察官のもと、警察の正義をただすべく
密命チームが立ち上がり、相次いで起こった警察官の事件を
暴き、警察内部に蔓延る悪を一掃しようと晴山たちは動き始めた。
方や、渋谷南署の岩沢刑事は、渋谷に不穏な動きを感じていた。

そんな時、岩沢が頼りにしている、足ヶ瀬巡査が銃撃される。
そして警視庁内でもベテラン刑事が自殺を図る!という前代未聞の
事件が起こった!しかも自殺した刑事はとても評判の良い刑事で
晴山と同じチームだったのだ。
晴山は、この緊急事態を収めるために奔走する。
しかし、公安が横やりを入れてきた。
晴山と同期で公安部外事第三課の区堺が接近してくる。
区界の言葉に動揺する晴山。
こいつは密命チームの事を知っているのか?
罠なのか?こいつを信じればよいのか・・・?
晴山の心は乱れた。その隙にも事件は次々と展開してゆく!

岩沢は、殺された元キャリアが渋谷で怪しい行動を繰り返していたとの
情報を得、元暴対だったキャリアを活かし、その筋に情報を求めた。
そして岩沢は、渋谷に住む伝説的極道に話を聞くことに・・・・
その極道の口から洩れたのは「渋谷には神がいる・・」ということだった.
さらに密命チームは、警察官自殺事件の真相を暴くため、
警察閥のキャリアを問い詰める・・・。

東京を襲う非常事態に、岩沢刑事、晴山たちはいよいよ本格的に動き出す!

壮大なスケールで描かれる、警察の闇。
そして、警察官としての正義を貫く刑事たち。
警察内部に味方がいない状況で、彼らは如何に闘うのか!
シリーズ3弾に期待!
超面白い警察小説シリーズです!

『クランⅡ 警視庁渋谷南署・岩沢誠次郎の激昂』
著者:沢村鐡
出版社:中央公論新社(文庫)
価格:¥680(税別)

益々面白い!法医昆虫学捜査官第4弾「メビウスの守護者」

川瀬七緒さんの人気シリーズ「法医昆虫学捜査官」シリーズの
第4弾「メビウスの守護者」を読みました!

岩楯刑事&赤堀コンビは益々面白くなります!

メビウス

死体に涌く昆虫の生態から、死亡推定時刻や事件場所、犯人の痕跡を
調べ捜査に活かす、「法医昆虫学」。
アメリカの科学捜査ではすでに導入され、成果が出ているらしい。
しかし、日本ではまだまだ未開の分野だ。
そこに目をつけて、異色の警察小説にしたのが、このシリーズ。

昆虫の生態から事件を解決するなんて!斬新!

四日市警察署管内の山中で男性のバラバラ死体が発見された。
第一発見者は、その署員で山岳救助隊員でもある、牛久巡査長。
警視庁の岩楯警部補も捜査に駆り出された。

現場は、切断された腕がバラバラに投げ出された状態で、
死体には大量のウジが涌いていた。
足、胴体、頭部分は発見出来なかった。

その後、捜査会議が開かれ、そこに法医昆虫学者の赤堀涼子が
現れた。相変わらず作業服に、虫とり網を差した奇妙なスタイル。
周りからは怪しげな視線を送られるが、本人は全く意に介さず。
図太い。だが、この事件を担当する女性管理官は赤堀不要論者だ。
岩楯は、赤堀の言動や行動が心配でならない・・・。

解剖医が、遺体の状況を説明した。手は被害者が誰かわからないように
指は切断され、掌の皮膚は削ぎ取られ徹底的に痕跡が消されていた。
さらに、血管をむりやりひっぱり出し、血を抜いた形跡もある。
死因は不明。死亡推定時刻は死体の状況から死後10日前後と断定した。

だが、そこで赤堀が死亡推定時刻に疑問を呈した。
死体に涌いたウジたちを調べると、死亡推定時刻が解剖医の
いう日数より前だという。
解剖医は意地悪く赤堀を追求。死体と虫とどっちの声が正しいか?
と追いつめた。会議で赤堀は一旦引いたが、解剖医に軽い意趣返しをし、
『絶対にこの子たちが正しい・・・本当の死亡推定時刻を出す』
と不敵な笑みを浮かべる。岩楯と牛久はその笑顔に赤堀の底意地の悪さを見た。

岩楯と牛久は、バラバラ死体が発見された山近くの仙石村の住民に聞き込みを開始する。
すると怪しげな家族が浮上した・・・。

方や、赤堀は、正確な死亡推定時刻を調べるために再度現場に行った。
その現場にはまだ屍肉にたかる昆虫たちがいた・・・。
そこで赤堀はあることに気が付く。

捜査が進むにつれ、ある男の行動が岩楯の刑事の勘を刺激する。
だが物的証拠がほとんど出てこない・・・・。
そして赤堀の方は、死亡推定時刻に関する新たな仮説を提示する。

これらによって次第に犯人像に迫ってゆくが・・・・。

毎回変わる、岩楯の相棒。
今回の牛久巡査長は、超真面目で地元思いの単純でいい奴だ。
岩楯&赤堀コンビも4作目になると、あ・うんの呼吸。たのもしい!

しかし、事件は何だか気味が悪い!人間の薄気味悪さが
非常に上手く描いてあって、事件の真相になかなか辿りつかない
もどかしさが、岩楯と赤堀の想いにシンクロしてしまう。
なんなんだこの事件・・・?
真相がわかるともっと「何?」ってなる。
ほんと、人間の心の闇は海よりも深い・・・のかな?

次回作に益々期待大!!

『メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官』
著者:川瀬七緒
出版社:講談社
価格:¥1,500(税別)

刑事・オリヴァ―&ピアシリーズ「悪女は自殺しない」の展開が凄い!

ドイツ本国では、シリーズ累計550万部突破している
超人気ミステリーシリーズ、
「刑事・オリヴァ―&ピア」。
日本では「深い疵」と「白雪姫には死んでもらう」と本書の3作が
翻訳され発売されている。

本書「悪女は自殺しない」は実はシリーズ第1作目なのだ。
日本ではシリーズ順に発売されなかったため、オリヴァ―とピアが
初めて一緒に仕事をするシーンがなんだか嬉しい。

それにしても、難解な事件だ!

悪女は自殺

プライベートな事情で警察署を休職し、やっと復帰したピア・キルヒホフ。
彼女を待っていたのは、上級検事の飛び降り自殺だった。
著名な人物の自殺とあってマスコミは一斉に報道。
そして同じ頃、飛び降り自殺に偽装された若い女性の遺体が発見される。
調べてみると、動物の安楽死に使われる薬物による毒殺で、
獣医の夫や、その夫が働く馬専門の動物病院の共同経営者たちが疑われる。

ホーフハイム刑事警察署に新たに赴任してきた、首席警部、
オリヴァ―・フォン・ボーデンシュタインは、女性の墜死
事件について調べ始めると、被害者女性へのとてつもない
憎悪があきらかになる。さらに背後に隠されていた事件
が次々と繋がり始める。

悪女をとりまく女たちの嫉妬、裏切り、羨望、悪意
憎悪。人間の闇の心を暴き出す。そしてそれは、
恐喝事件から、殺人事件へと発展する。
あまりの多くの人間に殺害動機があったため、ピアと
オリヴァ―は関係者を丹念に洗った。・・・
そこに浮かび上がってきたのは隠されていた人間の本性!と
莫大なお金への執着心。
お金と女がからむと絶対に事件に発展する、その
お手本のようなストーリーだ。
一体真実はどこにあるのか?
犯人逮捕に焦るオリヴァ―が思い込みだけで犯人を
断定するシーンは実にリアル!!

シリーズ第1弾の面白さは半端じゃない。
ここから「オリヴァ―&ピア」シリーズが始まる。
このシリーズの原点。ご堪能あれ!

『悪女は自殺しない』
著者・ネレ・ノイハウス著/酒寄進一訳
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥1,200(税別)

腕貫探偵がパワーアップ!シリーズ最新刊「帰ってきた腕貫探偵」

帰ってきた〇〇〇〇マン」と間違えそうなタイトルですが、
それくらいヒーローになった、腕貫探偵。
シリーズ最新刊は霊界からも相談者が!
腕貫、あんたは幽霊も視えるのか!?

「帰ってきた腕貫探偵」は4編の短編を収録。
原点回帰か!?
シリーズ第1弾を読んだときの衝撃が甦ってきた。
そう!腕貫シリーズの衝撃と面白さと安心感を
ミックスしたようなそんな感じです。

第1話「氷結のメロディ」
鳥遊(とかなし)葵は、恐怖におののいていた。
櫃洗大学でバンド活動をしていた仲間の二人が結婚。
だがその披露宴会場でバンド仲間の女性が墜落死した。
その後、結婚した二人も次々とマンションから飛び降り自殺を図った!
なぜ、なんで!!
苦しむ鳥遊に声をかけたのは櫃洗大学のマドンナ・住吉ユリエだった。
ユリエはだ~りんに相談しようと明るい声で言う・・そのだ~りんとは・・?

第2話「毒薬の輪廻」
入院中の老女・粥川育子に襲われた新田目美絵は、刑事から
20年前に粥川の息子が毒死したのは美絵の仕業だったのではないかと
疑っていたからだと教えられた。
20年前、美絵と粥川育子の息子・孝紀は結婚することなった。
囲櫃学園の生徒だった美絵は、若き教師・粥川孝紀に恋をした。
美絵は積極的に孝紀にアタック。高校卒業後、二人は半同棲状態に。
美絵の短大卒業に際し、孝紀の両親に半同棲のことがばれ、
とにかく婚約だけでもということで、婚約式を行うことに。
そんなめでたい日に、孝紀は何者かに毒入りワインを飲まされ
亡くなってしまう。現場の状況は、意図的に誰かを狙って毒死
させることは不可能。20年経った現在も誰が毒を盛ったのか
判明していない。粥川育子がいまになって自分を殺そうとした
本当の理由は何か?悩んでいたとき、目の前に腕貫探偵が・・・・。

第3話「指輪もの騙り」
「夫が留守中に外で他の男とよろしくやっていた女が、わざわざ途中で
自宅に戻り、はずして置いてあった結婚指輪をまたはめて出てゆく・・・」
これを読んだ氷見刑事は、昔の事件を思い出した。
30年前の嫁と姑の変死事件だ。夫の留守中に嫁がよからぬことを
しないかと監視していた姑が、男を連れて帰ってきた嫁と鉢合わせ!
嫁は思わず姑を殺し、行方をくらました。数日後、若い女性の死体が発見される。
それが行方不明の嫁だった・・・。
氷見刑事と水谷川刑事は、ユリエ、鳥遊、その友人江梨子らにレストランに
誘われる。そこでこの30年前の事件の話をしてゆくと、事件の真相が見えてきた・・・。

第4話
1週間ほど前に亡くなった女性は、成仏できず櫃洗市をさまよっていた。
そこで、幽霊のような男に出会う。細くて眼鏡をかけ、若いのか年寄りなのか
わからない、おまけに腕貫をつけている・・・。この男、ずっと自分を見ている?
もしかして私が視えるの・・・・?視えるのならば、私の成仏できない心残りを
聞いてほしい!なんと腕貫さん!この成仏できない美しい老女の悩みを聞くことに!
死んでしまった「私」はいったい誰なの・・?

腕貫ワールド全開!何なんだこの懐かしさと不思議な安心感は!
今回の4篇は人間関係がぐるぐるぐるぐる回る、ひねりにひねった
展開で、真相がわかった時にはおおおお~と膝を打つ感覚。
もう!めちゃめちゃ面白かったです。

『帰ってきた腕貫探偵』
著者:西澤保彦
出版社:実業之日本社
価格:¥1,400(税別)

衝撃!悪魔憑きの正体!「バチカン奇跡調査官12 悪魔達の宴」

「バチカン奇跡調査官」シリーズ最新刊、「悪魔達の宴」。
‘悪魔が少女に憑依する’というシリーズ中で一番恐怖を覚えた作品。

しかしそれは本当に悪魔の仕業なのか・・・?

バチカン悪魔宴

クリスマスの夜、4人の少女たちは人目を避けて儀式を始めた。
だが、その儀式の途中で一人の少女が恐怖にかられ逃げ出す。

新年を迎えたドイツ、ニュルンベルグ。
その市長が、フラウエン教会のベックマン司祭に
「娘に悪魔が憑いた・・・」と告白した。
ベックマン司祭は、エクソシズムの講義を受けたという
若き神父・トビアスとともに市長の娘・ヘンリエッテを
見舞う。そこで二人が見たものは、おぞましき姿に変貌した
ヘンリエッテだった。
二人は早速、バチカンへ助けを求める。
バチカンは、エクソシストの講義を受けたロベルトと
イタリアに住むベテランエクソシスト、ジャンマルコ・ジャンニー二
の二人をドイツ・ニュルンベルグに派遣した。
その頃、トビアス神父はたった一人で、悪魔に憑依された
ヘンリエッテと戦っていた。
だが、精神的にも肉体的にも疲れ果てていたトビアス神父にも
悪魔の手が伸びようとしていた・・・。

一方、ニュルンベルグ駅に降り立ったロベルトとジャンマルコは、
駅で不気味な魔法陣を眼にする。
この頃、駅では連日決まった時刻に人が死ぬという怪現象が発生していた。
そして、街では至る所で‘悪魔’の目撃情報が報告され、住民たちの
恐怖心は日毎に募っていた。

ロベルトとジャンマルコは、トビアス神父と合流し、3人で
ヘンリエッテの悪魔祓いを始めるが、ベテランのジャンマルコを
もってしても容易に祓うことが出来ず、日に日に憔悴してゆく。

そんな時、平賀の弟・良太は兄からロベルトの悪魔祓いの話を聞き
平賀にロベルトの元へ行くようにアドバイスをする。
良太に何かを感じた平賀は、早速ロベルトの元へ向かった。

そして、ロベルト、ジャンマルコ、平賀の3人は悪魔と対決することになる。

殆どが悪魔祓いの難儀なシーン。読んでいると恐くなる。
本当に少女に悪魔が憑依していると感じる。
今回も、吸血鬼事件の時と同じように、科学で解明することが不可能な
状況になったのでは・・・と思う。
しかし、平賀の冷静かつ冷徹な科学者の眼が真相を暴くのだ!

シリーズ中、一番恐くて、多分一番面白く、印象に残る作品!!

『バチカン奇跡調査官 悪魔達の宴』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA (角川ホラー文庫)
価格:¥680(税別)