伝説と幻のミステリーが今甦る!『弁護側の証人』と『模倣の殺意』

今さら何を紹介しているんだ?と言われそうですが・・・伝説のミステリー、幻のミステリーと絶賛を浴びた2点の紹介です。
1点は昭和38年に発売され、ミステリーの名作と言われた、小泉喜美子『弁護側の証人』(集英社文庫)です。1978年に集英社で文庫化されたのですが、2009年に改めて文庫として発売されました。
ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子(なみこ)は、八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗る。
しかし、幸福な新婚生活は長くは続かず、義父である当主・龍之介が何者かに殺害された。
真犯人は誰なのか?事件の真相は?「弁護側の証人」とは?弁護側の証人を巡って繰り広げられる息詰まる法廷劇!しかしただの法廷ミステリーではない。
単なる法廷ドラマとして無防備なまま読んでいると、ある場面からいきなり目の玉が飛び出るくらいの驚愕と衝撃が襲う!
まさに大・ど・ん・で・ん・返し~~~~~~!!この作品を読んだときの衝撃は忘れられません。
伝説の名作と言われるがわかります。こんな名作があったなんて・・・・凄すぎる傑作。
そしてこの作品の解説を道尾秀介さんが書いています。・・・納得・・・。

 

そして、もう一点は、ある大手書店さんの企画から火が付いた、こちらは1972年に登場した幻の傑作と言われる作品、中町信『模倣の殺意』(東京創元社・文庫)です。
まず帯には「これはすごい」、注意!!禁‘解説は先に読まないでください!!’と書いてあります。
なので、あまり説明は出来ないみたいですね。でもでも紹介したい~~~。
七月七日午後七時、新進作家の坂井正夫が青酸カリにより服毒死した。
遺書はなかったが、世を儚んでの自殺と処理された。
しかし、坂井に編集雑務を依頼していた中田秋子は、彼の身辺にいた女性が気にかかり、独自に調査を開始。
一方ルポライターの津久見は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう依頼を受け、調査を開始する。
読み進めるうちにだんだんと違和感を感じ始めるのですが、その違和感の正体が全くわからないんです。何だろう・・・何だろう。ちょっと違うのに・・・・。
そしてラストに事件の解明がなされたとき、その違和感の正体がはっきりするのですが、あまりにもあまりにも意外な展開だったためもう一回読み返してしまったほど!!
本当に凄すぎる展開なんです。

計算されつくしたこのミステリー2作品。
衝撃と驚愕のミステリーを読みたい方におススメです。

 

『弁護側の証人』
著者: 小泉喜美子
出版社:集英社
価格:¥552(税別)
『模倣の殺意』
著者: 中町信
出版社:東京創元社
価格:¥740(税別)

腕貫探偵スピンオフ!「必然という名の偶然」本の学校で展開中!

4月6日に入荷しました、西澤保彦先生の『腕貫探偵』シリーズのスピンオフ作品、『必然という名の偶然』は本の学校今井ブックセンターのはまさきおススメのミステリー平台と棚で展開中です。
サイン本も一緒に置いています!
シリーズ第1弾『腕貫探偵』、第2弾『腕貫探偵、残業中』もしっかりあります。
第2弾は、第1弾の『腕貫探偵』に輪をかけて面白いです。
腕貫探偵さんの人間らしさ、優しさなども描かれています。
さらに腕貫さんにぞっこん惚れる美女も登場。
ユーモアミステリー、本格ミステリーの要素も十分に描きつつ、腕貫さんの魅力全開です。
最新刊の『必然という名の偶然』は、腕貫探偵シリーズ初の長編『モラトリアム・シアター』で登場した、謎の超富豪派手派手女性探偵・月夜見ひろゑがのっけから登場します。
とんでもない方法で事件の解明に挑みます!
櫃洗市で6つの奇妙な事件が発生!櫃洗南署の氷見・水谷川刑事コンビが大活躍!腕貫探偵さんがいない間に事件解決できるのか!?といった感じです。
『腕貫探偵』シリーズ4作品をまたまた強力プッシュしています!!!

 

版元さん特製の平台用のPOPにも先生の直筆サインをいただいいます。
今井書店グループでは本の学校でしかお目にかかれません!

人情あふれる署長刑事シリーズ第3弾「指名手配」

姉小路祐さんの『署長刑事』シリーズ第3弾を読みました。
タイトルは『指名手配』です。
今回は一人の少年が事件に巻き込まれてしまいます。

セレブ相手に営業し人気を博している、ミナミの高級美容院の一人娘が学校の生徒会長室で殺害された。
そして指名手配されたのは、同校の定時制に通う男子生徒だった。
少年は殺害を認める通報をするが、逃走。
その少年の父親は、大阪中央署署長、古今堂の部下の丸本刑事の実家の弁当屋を手伝っていた。そのせいで、丸本刑事と少年は顔見知りだった。
そして少年は丸本刑事に頼ろうとする。
そうとは知らず、丸本刑事は少年に自首を勧めるが、またまた逃げられてしまう。
丸本刑事は指名手配犯を逃亡させたと疑われ、署内で非常に厳しい立場に追いやられてしまう。

古今堂署長は、少年の行動に不信を抱き自ら動き出す。
少年の父、殺された女子生徒の行動、彼女の両親の身辺を探る内にそれぞれに隠された秘密を知る。
そしてそれぞればらばらだったたピースを繋ぎあわせると、事件の裏に隠された悪意ある真相に突き当たる・・・。
罪もない人たちを巻き込み、さらに人の弱みに付け込んで、罪を逃れようとする者たちに怒りをあらわにする古今堂署長・・・・。
少年のため、丸本刑事のために、そして何より悪事を働き平気な者たちに正義の鉄槌を下すために、古今堂は孤独な闘いを続ける・・・。その姿勢がかっこいい・・・。

大好きな古今堂署長シリーズ。最新刊も面白くかったです!!

『署長刑事(デカ) 指名手配』
著者: 姉小路祐
出版社:講談社
価格:¥648(税別)

ドラマ「確証」を観ました!渋くて良かったです。

今野敏先生の「確証」(双葉社)がTBS系月曜日夜8時からドラマ化され、15日から放送が始まりました。

仕事を早めに切り上げて家に帰り、ドキドキワクワクしながら観ました。
長編をどうやってドラマにするのかなあ~と思っていたのですが、一話完結型ではなく連続ドラマになってました!原作に忠実にドラマ化されていたので、嬉しかった~。

武田刑事役を榮倉奈々さんが演じていましたが、フレッシュなイメージがぴったりで、とても好感がもてました。高橋さん演じる、萩尾刑事・・・。
最初は、はまさきの抱いていたイメージとはちょっと違ったのですが、でも観ているうちに納得!!

これから毎週月曜日は楽しみです。

盗犯一筋のベテラン刑事が、職人気質の盗みの達人たちと渡り合う!
そして相棒は若き女性刑事。
二人のコンビが警察ドラマに新たな新風を巻き起こす!!そんな予感です。
ドラマ「確証」も良いし、原作「確証」も面白いですよ~。

「ST 警視庁科学特捜班」ドラマが面白かったです!

「ST 警視庁科学特捜班」スペシャルドラマを観ました!!ものすごく面白かったです。
原作も大好きなはまさきです。
脚本や、役者さんたちの動きで、原作のイメージとはかなり異なることもありますが、このドラマはとても面白かった。
作品中でもSTのメンバーは、かなり個性的なのですが、ドラマではそれに輪をかけて個性的に仕立てられていました。それがあまり違和感がありませんでした。
原作のイメージを壊さず、ドラマとして面白く創るってなかなか難しいと思いますが、「ST」はとても楽しめました。連続ドラマになって欲しい~。
このドラマ化をきっかけにもっとSTファンが増えてほしいなと思い、フリーペーパーを作成しました。
(もしかしたらこっちの方が原作のイメージを壊しちゃってるかも・・・ちょっと心配。ファンの方々ごめんなさい!!!)
5人のメンバーがそれぞれ主人公になった色シリーズの話を、STの面々が語っています。
本の学校と、グループセンター店で配布中!!!
STフリーペーパー

『SROⅤ ボディファーム』SROチームと殺人鬼との激闘が凄過ぎる!

富樫倫太郎さんの人気警察小説シリーズ、『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室』の最新刊、第5弾目「ボディファーム」が発売になりました。
『SRO』シリーズファンお待ちかね!はまさきも待ってましたよ~。このシリーズ大好きなんです。
「ボディファーム」は、シリーズ1で逮捕された、最凶の殺人者・キラークイーン、近藤房子がシリーズ3で逃亡し、潜伏生活をしているところから始まる。

潜伏生活に飽き出した、殺人鬼・近藤房子は、本性を隠しヘルパーとして入り込んだ一人暮らしの老婆を殺害。
SROチームの室長・山根新九郎に堂々と宣戦布告をし、東京の雑踏の中へ紛れ込む。
潜伏生活をしている間に変装の達人となった房子は、厳重な警察の監視の中をかいくぐり、残虐極まりない殺人を重ねていた。
マスコミから無能な警察と叩かれ、焦る警察上層部。
そんな中、チームの副室長・芝原麗子が房子に狙われる。
しかし、麗子はPTSDに苦しみ、心療内科や占い師に頼る生活。そんな苦しむ麗子を見た房子は、ひとりほくそ笑む。
一方、早急に房子を逮捕したい警察上層部は、麗子を囮に使うことを山根に提案。
山根は断固拒否をするが、事態は切迫していた。

最凶の殺人鬼・近藤房子が恐い!恐すぎる。読めば読むほど彼女の異常さが伝わってくる。
房子の言動、行動があまりにも具体的に描いてあるため、こんなやつが本当にいるかもと思えるくらいリアルなのだ。ほんとにいたらどうしよう~。想像するだけで怖くなる。
普通の感覚では対峙できない。だからSROチーム全員、近藤房子と命を賭けた、まさに死闘を繰り広げるのだ。
さらに今回は、近藤房子の連続殺人の最大で最凶の秘密が明らかになる!!?

読み出したら、その展開の面白さ、そして最凶の殺人鬼として描かれる、近藤房子の恐ろしさに、先の展開が気になり、もう止まりません。

SROVS近藤房子、最終決戦の結末は!?

『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅴ ボディファーム』
著者: 富樫倫太郎
出版社:中央公論新社
価格:¥838(税別)

腕貫探偵シリーズ!スピンオフ作品『必然という名の偶然』発売!

6日に、腕貫探偵シリーズのスピンオフ作品ともいうべき短編集が発売になりました。
タイトルは、『必然という名の偶然』です。
腕貫探偵シリーズの櫃洗市を舞台にした6つの短編集です。

第1話の「エスケープ・ブライダル」は、結婚が決まるけど、いつもギリギリになって花嫁に逃げられる男性。だが、凝りもせずまたまた結婚という運びになった。
結婚式当日、同級生が集まる。その同級生の中には、あの「モラトリアム・シアター」にも登場した、大富豪女性探偵・月夜見ひろゑも登場!彼女が出てきたということは、何か作戦ありか!?

第2話は、「偸盗(ちゅうとう)の家」。この物語、複雑すぎてうまく説明できません!その複雑さが逆にめちゃちゃ面白い展開になっています!!今回は、テレビ櫃洗の榎本裕子が事件に巻き込まれ、その事件を櫃洗南署の氷見・水谷川刑事コンビが解決していくという設定です。

第3話は「必然という名の偶然」です。県立櫃洗東高校の卒業生が、奇妙な法則に従って次々と不審死するという、恐~いお話。元クラスメートから、次はお前じゃないのかと言われた主人公・・・。しかし・・・。真実はどうなの~?

第4話の「突然、嵐のごとく」は、囲櫃学園で一人の男性教師を巡って起こる、恋愛ゲーム。女子高生のくせに男を籠絡させる手管は凄い!しかしこのゲームにはある殺害計画が・・・。男も女も怖~い。

第5話は「鍵」です。幸せな結婚生活を送っているある男性。彼は昔自分が住んでいたアパートの鍵を発見し、つい魔がさしてとんでもないことになっちゃうお話。ここでも櫃洗南署の氷見・水谷川刑事コンビが事件の真相に迫ります。

第6話、「エスケープ・リユニオン」は、「エスケープブライダル」で登場した、月夜見ひろゑと同級生たちが続いて登場。そして、都会で映画俳優をやっている同級生が、自分がちょい役で出演している映画の宣伝のため、帰郷。無理無理、同窓会をするはめになるが・・・。ここでは月夜見が粋な計らいをする。しかしまたまた事件が!!

とても殺人事件の多い櫃洗市。腕貫さんがどこかへお出かけのようで、悩み相談が出来ないからなのか!う~ん・・・。カムバック!腕貫~。

今回のスピンオフ作品、とても面白かった~。存分に楽しめました。
西澤先生のご好意で、新刊の宣伝のため、またもや先生直筆のサイン入りの看板やPOPをいただいています。西澤先生本当にありがとうございます!
本の学校はまさきミステリーコーナーで展開しています。
その様子を収めた画像、次回ブログにアップします。

『必然という名の偶然』
著者:西澤保彦
出版社:実業の日本社
価格¥600(税別)

面白すぎてまたまたはまった!至近未来警察小説『機龍警察』

こんなのありか!?掟破りの警察小説です!!
至近未来という設定なので、当然こんなのもありかと納得!!まずオープニングから凄い描写!
‘キモノ’と呼ばれる二足歩行型軍用有人兵器『機甲兵装』が、警察に追われ、市民をなぎ倒しながら逃走するシーンから始まる。
なんなんだ~この始まりは~とワクワク感が高まりますよ。
‘キモノ’と警察官との闘いに加え、さらに進化した『機甲兵装』が登場。
これは警視庁特捜部のトップシークレット、対テロリスト用に装備された武器だ。
操るのは、元傭兵・・・!?全てが全てが・・・・今までにない警察小説だ!
しかも今までの警察小説にはない圧倒的な臨場感と、スリル感がたまらない!

近接戦闘兵器体系・機甲兵装『龍機兵』(ドラグーン)と呼ばれる新型機を導入した、警視庁特捜部は、その搭乗要員として、元傭兵の姿俊之、ロシア警察のユーリ・オズノフ、元IRFのテロリスト、ライザ・ラードナーと契約した。
閉鎖的な警察組織内に大きな軋轢をもたらした彼らは、密造機甲兵装による立てこもり事件の現場でSATとい激しく対立。
だが事件の背後には巨大な闇が広がっていた。

とにかく、特捜部の姿、ユーリ、ライザが着装する、機甲兵装がかっこいい!もうアニメみたい!
そして特捜部のメンバーのクールさが際立っている!
傭兵の3人。特に姿俊之は、伝説の傭兵という設定だからキャラが立っている。
特捜部長の沖津旬一郎もすごくかっこいいです。この上司なら命を預けても良いと思えるくらい。

これだけでも面白いのに、さらに警察内部の軋轢もきちんと描かれているので、突飛な感じは全くなく作品にリアル感が出ています。
警視庁捜査一課の刑事が、特捜部に異動になった元同僚に「裏切り者」と言い放つシーンは本当に強烈!
今、二足歩行ロボットの開発が進んでいますが、本当に近い将来、こんな警察装備が出来るかもしれないと思わせる、警察小説です。

『機龍警察』
著者: 月村了衛
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫)
価格:¥720(税別)

刑事としての正義を貫く男が主人公。姉小路祐『刑事長』がドラマ化

この春から、テレビ東京系の水曜ミステリー9でドラマ化されることになりました、姉小路祐『刑事長』を読みました。
姉小路さんが現場で働く刑事さんの気持ちを思って描いた、正統派の警察小説です。
はまさきは以前に姉小路さんの作品で『署長刑事 大阪中央署人情捜査録』を読んで、姉小路さんの描く警察小説にはまったのでした。
この『刑事長』は、姉小路さんが初めて手掛けた警察小説のようです。
森村誠一さんが、この作品に対してこんな言葉を贈られています。「久しぶりに興奮する推理小説を読んだ。興奮の種類にも様々あるが、この作品から受けた興奮は上質である。」と絶賛。(本書あとがきから)

大阪府警御堂筋署に、警察庁から同署始まって以来の若きキャリア署長、いわゆる若殿様が赴任してきた。
最近の警察署には、若いエリートのキャリアさんたちが、研修という名目で署長として赴任してくることが多い。
大阪ではそんな署長のことを若殿様と陰口をたたくようだ。キャリアさんたちを雲の上の人、彼らを支える警部以上の人たちをエライさん。現場の刑事をジャコと言うらしい。
そして一番つらい仕事はジャコにまわってくる。
署長が赴任してきてちょっと落ち着いた頃、管内で婦女暴行殺人事件が発生した。
現場はひどい有様だった。殺害された女性は元看護師。その後看護師を辞め、親戚の女性が経営するスナックで働いていた。
無断で店を休んだ女性を心配した常連客に急かされ、スナックのママが女性のマンションに行き、そこで殺害された女性を発見したのだ。
大阪府警捜査一課の岩切鍛治、通称ダンさんは、殺害された女性に見覚えがあった。以前に病院でちょっとした事件が起きた時、岩切を助けてくれた女性だった。
岩切はこの女性のために、犯人を挙げると誓う。
ところが捜査本部は、通り魔殺人事件と決め、効率の悪いローラー作戦を展開する。
芳しい情報が挙がらない中、兵庫県警が殺害された女性の写真が売られていた事実を新聞で発表!事件は大きく動き、犯人逮捕に繋がる!
しかし、岩切刑事はその決着に不審を抱き、上司からの叱責も無視し、たった一人で地を這うような捜査を開始する。

上位下達の警察組織の中で、ただただ市民ために働く岩切刑事。優秀なベテラン刑事だ。
しかし彼のような職人型の刑事は組織の中でも浮いた存在。
組織の動きを無視し単独で行動すればたちまち懲罰を受ける。
しかし、岩切はそんなことは何とも思っていない。
彼の思いはただ一つ!事件の真実を暴くことだ。
それがどんな結果になろうとも、悪は悪だ。このぶれない岩切刑事が本当にかっこいい。
後輩の刑事に「岩切さんは風采はあがらないのにあれほど後ろ姿が恰好いい刑事はいないよ」と言わしめる。
悪に挑む下積み捜査員の執念!!これこそ上質の興奮!!

『刑事長』
著者: 姉小路祐
出版社:講談社
価格:¥571(税別)