『イニシエーション・ラブ』で大ブレイクした乾くるみさんの、またまた面白いミステリー短編集を発見しました!『カラット探偵事務所の事件簿1』(PHP文芸文庫)です。
以前紹介しました、『六つの手掛かり』(双葉社文庫)は、名探偵・林茶父がロジックを駆使し、殺人事件の謎を解明する、本格推理短編集。本格推理好きの読者にはたまらない1冊です。
この『カラット探偵事務所~』も謎解きを充分に堪能できる1冊です。
謎解きのみを専門に調査する『カラット探偵事務所』。所長の気まぐれで、『からっと解決いたします』からかなりむりむりにつけた事務所名。
調査するのは、探偵・古谷と運転手兼調査員の俺のコンビ。高校時代からの同級生だ。
和製ホームズ&ワトソンコンビか!?
そんな探偵事務所に持ち込まれた6つの謎。
File①『卵消失事件』は、旦那の浮気調査。浮気調査はやらないのに・・・と不機嫌な古谷だが、メールのやりとりに秘密がありそう!ということで、目を輝かす。はたして浮気の実態は!?
File②『三本の矢』は、家の壁に2本の矢が打ち込まれた。早速相談者の家に調査にいくのだが・・・・。ちょっとうるっときちゃう1作。
File③『兎の暗号』は、三つの和歌に隠された暗号から、お宝を探り当てる。
File④は、差出人不明の手紙から、父の居場所を見つけ出す『別荘写真事件』。
File⑤『怪文書事件』は、団地内で出回っている怪文書の発信元を探し出してほしい。
最後の『三つの時計』は、事務所の休みの日に友人の結婚式に招待された、古谷と俺。
そこで新婦の父親から、娘の結婚について、どうしても解いておきたい謎があるのでと相談される。しばらく思案し、古谷は見事に謎を解いて見せ、新婦の父を安心させる。
しかしここで終わり?と思っていたら、さらにとんでもない秘密が隠されていた!!!?
この作品の一番面白いところは「暗号」の謎解き。その過程があまりにも見事なので思わず納得!なのだ。暗号解読好きの読者の方々、どうぞ思う存分堪能してください。
しかし、乾くるみ氏の作品は、一筋縄ではいかない!今回はだまされないぞ~と思って読んでも、やっぱり著者の罠にはまってしまいました~。やられた・・・!
この作品、シリーズ化されそうです。月刊文庫『文蔵』(PHP研究所)で不定期連載中です。
『カラット探偵事務所の事件簿1』
著者: 乾くるみ
出版社:PHP研究所
価格:¥648(税別)