「十二国記」新装版になって新潮社から発売!第2弾

大人気「十二国記」。新潮社版「十二国記」のシリーズ第1弾は『月の影 影の海 上下』です。(表紙が素敵!)
あまりにも普通すぎる、おとなしく目立たない存在の女子高校生・陽子の前に、突如現れたケイキという男。「あなたは私の主、お迎えにまいりました。」ケイキとともに陽子は異世界へと旅立つ。
(新潮文庫版)

 

第1弾の『月の影 影の海 上下』は、異世界へと連れてこられた陽子が、自分を見つめなおし、弱い自分と闘いつづけ、それでも迷いながら、一人の自立した人間へと成長していく過程が描かれている。
厳しい現実の世界を、異世界という舞台に切り替えることで、よりいっそう生きることの過酷さが際立つ。
しかしその中でも巡りあう人々との温かいふれあいもあり、真の絆とは何かも問われている。
ファンタジー小説として、きめ細かい設定が意表をついていてとにかく面白い!一作目を読みだすとこの世界に入り込んでしまう。
ハリー・ポッターシリーズが世界中を席巻したが、このシリーズはハリー・ポッターシリーズをも凌駕する類稀なる面白さ。
日本を代表するファンタジー小説の傑作。新潮文庫から新装版でいよいよ登場。

新潮社「十二国記」の公式サイトです!
http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/

「十二国記」新装版になって新潮社から発売!第1弾!

空前絶後の面白さ!講談社文庫で発売中だった「十二国記」が新潮社から新装版で再発売!
4月に発表になり、今や遅しと待っていたけど、6月28日に入荷することに決定!
まずは、もとから新潮文庫で発売されていた「魔性の子」が新カバーで登場!
このカバーはどうですか!?はまさき以前のカバーよりも良い感じだと思います。
「十二国」にはまって、現在発売中のシリーズをすべて読んで、「Yom Yom」に「十二国記」の短編が掲載されると、その世界に浸りたくなり、また最初から読んで・・・・とたぶん3回は読み返している、そんな読者も多いはず。
異世界のお話なのに、設定の緻密さ、物語の奇抜さ、そして人物の心理描写の巧みさで、シリーズ第1作目の「月の影 影の海」を読みだすと、次々読みたくなる・・・というか読まずにはいられない衝動にかられる。こんな小説はほかに知らない・・・。
しかし、多分一番人気の高い国のお話の続きが出ないまま今に至っています。ファンは首を長~くして待っています。
この度、新潮文庫で発売されるに当たり、まだ未定ですが新作長編も文庫描き下ろしになるとのこと。(その国の話の続きなのかはまったくわかりません。)
それも含め完全版という形で、6/下旬から新潮社文庫版「十二国記」シリーズいよいよ発売開始となります!こうご期待!
新潮文庫版「十二国記」シリーズ発売第1弾は、「魔性の子」・「月の影 影の海上下」です。

傑作!歴史サスペンス 門井慶喜氏が描く『竹島』

最新刊です!ズバリ!「竹島」をテーマにした、サスペンス小説です。

ある家で秘かに守られていた一冊の和本・・・。つたない字で書かれた「たけしま一けん」。
黒船来航のわずか十七年前に浜田藩で起こった密貿易についての詳細をつづった和綴じ本。
そこには現在の「竹島」問題の決定打となるある事実が記載されていた!
非常に頭がよく、交渉力もあるが、お金だけしか信じない健哉は、言葉巧みにその和本を老人から預かり、まず外務省へ乗り込んだ。
交渉相手は新人の外務官僚・ことみ。この和本にはいくらの価値があるのか?!民間VS官僚のバトルが始まる。
弱腰の日本を見切り、今度は韓国側へ!そして、中国まで交え、「たけしま一けん」争奪戦が始まった!?
和本に書かれた事実とは!?そして「竹島」はどうなるのか!?
日韓のタブーに切り込んだ意欲作。

『竹島』
著者: 門井慶喜
出版社:実業之日本社
価格:¥1,500(税別)

梅雨に読むのにぴったり、宮部みゆきさん『地下街の雨』

憂鬱な梅雨がやってきました~。はまさきはこの梅雨時は家に引きこもって本を読むのが好きです。なぜか、さらに鬱々した気分に浸れるような本ばかり読んでしまいます。この『地下街の雨』は、7つの短編が収録され、雨の日にコーヒーを飲みながら家でゆっくり読むのにぴったりと言える作品ばかりです。

表題作『地下街の雨』は、婚約破棄された麻子が、会社を辞め、新たな気持ちで地下街の小さな喫茶店で働き始める。そこにある女性が現れるが、その女性が何かと麻子に関わってくる。その関わり方が妙なのだ・・・・。不気味な女の正体とは・・・?
ほか『混線』は、電話を反社会的に使用する、電話魔たちに制裁が下される。その制裁とは?想像を超えた描写にただただ唖然となってしまう、ホラーファンタジー。
『ムクロバラ』は連続殺人をムクロバラの殺人と言い続ける、橋場という男。そのムクロバラの殺人に振り回されるデカ長の悲喜劇を描く。
『さよなら、キリハラさん』はある日家じゅうから音が消えてしまった一家のもとに、‘銀河系の研究者’が訪ねてくる。普通の家族に起こった不思議な現象を描いたファンタジー。
特に面白かったのはこの4作です。
ロマンチックミステリー、ホラー、ファンタジー、サスペンスと多彩。どれも切り口が違い、宮部さんの発想、想像力のすごさを改めて認識させられる。宮部さんの才能の良いとこどりのような短編集です。

『地下街の雨』
著者: 宮部みゆき
出版社:集英社
価格:¥514(税別)

ホラー脱皮!?道尾秀介氏『花と流れ星』

道尾さんのデビュー作『背の眼』が3月にドラマ化されました。
『霊現象探究所』の真備とその助手、凛。そして、売れないホラー作家として自分自身をモデルとした、道尾が謎の霊現象を追って、山奥の村での事件を解決するお話。
デビュー作とは思えない面白さでした。その後は同じ登場人物で『骸の爪』を出版。
仏像が事件の重要な役割を果たすホラーミステリー。どちらもめちゃめちゃ怖くて面白かったです。
この「花と流れ星」は、おなじみの3人が登場する5編から成る短編集です。
しかし、ホラー色はほとんどなく、道尾さん独特のトリック、心理描写、衝撃が短編ながら十分すぎるほど堪能できる、珠玉のミステリー短編集です。
ホラーにこだわらず、道尾さんがとても気に入っているこの3人のキャラクターを魅力的にまた、思う存分自由に描いています。
さらに道尾さんのこだわりが随所に見られ、キャラに対する愛情さえ感じられる作品となっています。

第一編『流れ星の作り方』は夜道に窓越に出会った凛と少年。少年から聞かされる不思議な殺人事件。凛は違和感を感じながらも少年から問われた疑問を真剣に考える・・・・。これは道尾さんが大変得意な少年の心理描写と、ラストの衝撃が非常にうまく描かれた作品。はまさきの一番のお気に入りです。
第2編『モルグ街の奇術』は、エドガー・アラン・ポーの名作『モルグ街の殺人』がヒントになった、マジシャンのミステリー。
第3編『オディ&デコ』は、雪の中に捨ててしまった猫の幽霊に悩む少女の心を、3人が救うというお話。
第4編『箱の中の隼』は、新興宗教の美しい女性に拉致された、道尾。そこで道尾が見た驚愕の事件・・・。
第5編『花と氷』は、自分の過失で死なせてしまった孫に会いたいという老人の苦悩。そして、大切な人を失った悲しみを老人の苦悩にシンクロさせる凛の心理が見事に描かれた、ちょっと悲しい物語。以上の5編。ミステリーながら、心がほっと温まります。

『花と流れ星』
著者: 道尾秀介
出版社:幻冬舎
価格:¥533(税別)

女性秘匿捜査官VS浪速女刑事『スワン 女性秘匿捜査官・原麻希』

6/15(金)夜9時に放送予定だった、ドラマ『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』は、特別報道番組のため、放送延期なったようです。楽しみにしていたのに残念。でも近いうちに放送されると思うけれど・・・・。
そのドラマの原作、第2弾も読みました!吉川英梨『スワン 女性秘匿捜査官・原麻希』(宝島社文庫)です。

テロリスト、アゲハが逮捕されたあと、またまたきなくさい事件が発生する。
テロ軍団『背望会』のリクルーターの指紋が検出された。その指紋は、奈良県警五條南警察署地域課巡査・・・?しかしその巡査はすでに死亡していた。
公安一課の広田警部とともに奈良県に飛んだ麻希は、海天村でその巡査の事件を調べる。
おりしも奈良県では知事選が繰り広げられていた。海天村村長の櫛田と現職との一騎打ち!
しかしその櫛田が誘拐され、身代金の受け渡しに麻希を指名してきた。
そんなころ、今度は海天村で映画の撮影をしていた、女優の惨殺死体が発見される!
麻希は、奈良の地で次々と起こる事件に巻き込まれていく!
事件の捜査本部は奈良、そして助っ人に出張ってきたのは大阪府警。率いるのは、浪速のおばはん刑事。
麻希とこのおばはん刑事の戦いがヒートアップ。その捜査本部はまれにみる最悪の捜査本部となった。
夫と娘の危機にも目をつぶり、奈良の地でアウトロー刑事・吾川とともに事件に立ち向かう!

誘拐事件、女優惨殺事件、「背望会」リクルーターの指紋・・・。事件がどうつながっているのか?
麻希は、家族の身を安じながらも絡みに絡んだ事件をひとつひとつほどいていく・・・。「アゲハ」の事件よりもさらに厳しい状況に置かれた、女性秘匿捜査官・原麻希を描く。めちゃめちゃ面白い!傑作警察小説。

『スワン 女性秘匿捜査官・原麻希』
著者: 吉川英梨
出版社:宝島社
価格:¥562(税別)

キレ者女捜査官『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』がドラマ化です!

吉川英梨『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』(宝島社文庫)が、フジテレビ系『金曜プレステージ』でドラマ化されます!放送は今週の金曜日、6/15(金)夜9時から。主演は瀬戸朝香さんです。

最近、女刑事ものにはまっている私・・・。先日、たまたまお店の文庫コーナーを物色していたら、この本が目に留まりました。うわ~面白そう・・・。早速読みはじめました。

警視庁鑑識課に勤める原麻希は、ある日子供を預かったという誘拐犯からの電話を受ける。
犯人からの指示で、箱根の芦ノ湖畔にある別荘へと向かった。
そこには、同じく息子を誘拐されたというかつての麻希の上司、戸倉加奈子もいた。
彼女たちに見せられる子供たちの映像・・・。「アゲハ」と名乗る誘拐犯の目的は・・・・?この事件は、麻希と加奈子の運命を変えた忌まわしい8年前の事件が関係しているのか・・・・?

過去には警視庁の花形、捜査一課でその切れ者ぶりを発揮していた麻希。
しかし激しい出世競争に明け暮れる男性刑事からうとまれ、鑑識課に異動になった。
だが、その後も何かと相談を受ける麻希。彼女の捜査官としての腕と勘は誰からも一目置かれている。

『ストロベリーナイト』の姫川玲子、『アウトバーン』の八神瑛子は、あまりにも美しく、かっこよく、強すぎて読んでいてちょっと近寄りがたい思いがあったけれど、原麻希は部下から「ハラマキ巡査部長」などと呼ばれ、いじられている。
結婚していて二人の子持ち、しかも一人は夫の連れ子で25歳の青年。麻希とは10歳しか違わない・・。
夫は同じ刑事だが、どうも不倫をしているらしい・・・などとプライベートではかなり深刻な悩みを抱えながら、仕事も一生懸命する今どきの生き生きとした女性として描かれ、女性として非常に共感を覚える。
さらに警察ミステリーとしても非常に面白い!!警察小説に新たなヒロイン誕生!と言えるかもしれない。
今回ドラマ化されるが、瀬戸朝香さんがどんな原麻希像を見せてくれるのかとても楽しみ!!
そして、第2弾も発売中、『スワン 女性秘匿捜査官・原麻希』(宝島社文庫)。今読んでいます。これも面白いですよ~。

『アゲハ 女性秘匿捜査官 原麻希』
著者: 吉川英梨
出版社:宝島社
価格:¥457(税別)

謎の安楽椅子探偵第2弾『腕貫探偵、残業中』面白さパワーアップ!

『腕貫探偵』で腕貫さんの不思議な魅力にはまった私・・・・。
待ちに待った第2弾!『腕貫探偵、残業中』(実業之日本社文庫)を土曜日に読みました。
あまりの面白さにいっき読みです。
面白さは『腕貫探偵』よりもさらにパワーアップ!そして腕貫さんも益々魅力的に!!
第1弾では、いたるところにひょっこり現れて市民の苦情、悩み相談を聞いて見事に解決していた腕貫探偵さん。
第2弾は、レストランや、居酒屋で相談を受けるはめに・・・・残業になっても、市民の悩みはしっかり伺う。腕貫さんの新たな一面が見られて益々好きになっちゃいました。
今回は6編の短編です。登場人物もいろいろなお話で繋がっているので、連作短編のようになっています。
第1話『経験の後』は、レストラン「てあとろ」で食事中、いきなり迷彩服にエアガンを持った男たちが乱入!レストランは戦闘状態に。そしてレストランのお客さんたちは人質に!
たまたまそこで食事中だった腕貫さんが、この強盗事件のおかしな点を指摘・・・。その腕貫さんの姿に一目ぼれしちゃった美女も登場!
第2話『雪のなかのひとり、ふたり』は、腕貫さんにすっかり惚れ込んじゃった、美女が雪の中に駐車された車の写真を見て、不審なことに気が付き、腕貫さんに相談。一枚の写真から、殺人事件の真相を解明!
第3話『夢の通い路』は、父親の遺品を整理していた男性。高校時代の自分が恋焦がれていた同級生の女子とのツーショット写真を見つける。しかし全く記憶にない。なぜなぜなぜ?
記憶にない一枚の写真から、男性の封印された過去を暴いていく、腕貫探偵。
第4話『青い空が落ちる』は、高校教師をしていたまじめな女性が亡くなくなったが、亡くなる前に大金がおろされていた。でも使った痕跡が見られない。その大金はどこへ行ったのか?腕貫さんの推理が冴える!
第5話『流血ロミオ』は、幼馴染の中学生の男女。隣同士で窓越でいつもおしゃべりしていたが、ある日女の子が殺されていた。その現場には男の子も!はたして事件の真相は?
第6話『人生いろいろ』は、なかなか別れてくれない彼女。新たにできた彼女とともに殺害計画を練った。完璧だったはずの殺害計画。しかし!この計画の裏にかくされた真相があった!
どれも第1弾をはるかに上回る面白さ。どこからこんな奇抜なお話ができるのか!
いままで読んだことないミラクルな西澤ミステリーワールド全開です。
第2弾ではまさきの好きな作品は『夢の通い路』、『雪のなかのひとり、ふたり』『青い空が落ちる』の3作品。面白すぎてご飯を食べることを忘れちゃいました。
『腕貫探偵、残業中』
著者 :西澤保彦
出版社:実業之日本社
価格:¥600(税別)

ある刑事の再生の物語、笹本稜平氏『駐在刑事』

『駐在刑事』(講談社文庫)は、「越境捜査」シリーズ(双葉社)、「素行調査官」シリーズ(光文社)で人気の笹本稜平氏の短編集。
冒険小説の第一人者である、著者が描く一人の刑事の物語。
かなり渋い作品です。(はまさきは渋い系大好きなので!)

警視庁捜査一課の警部補だった江波淳史。彼は取り調べ中に容疑者が服毒自殺したことで、奥多摩の駐在所へと左遷された。
心も体もボロボロに傷ついたまま、駐在所での勤務が始まる。
時にはいやおうなく過去と向き合うこともある。自分は容疑者を死に追いやる何かをしたのか・・・と。どうしようもない焦燥にかられ、自分を否定する日々。
しかし美しい山々に囲まれた奥多摩での仕事は、すべてを失った江波を優しく包み込んでいく。

静かな奥多摩でも事件は起こる。行方不明の女性の遺体。自殺か他殺かそれとも事故なのか・・・?
不審な血痕を残し、行方不明になった老人。老人の孫の機転で捜査が開始されることに。などなど。移ろいゆく奥多摩の自然を舞台に描かれた、6つの事件。

連作短編の形式をとり、組織の歯車のひとつに過ぎなかった一警察官が、生身の一人の人間として再生してゆく過程を丁寧に描いている。
血なまぐさい事件も絡んでいますが、奥多摩の自然とそこに住む人々の優しさ、ぬくもりが伝わってきます。

『駐在刑事』
著者: 笹本稜平
出版社:講談社
価格:¥648(税別)

学校での幽霊騒ぎの顛末は!?『理由あって冬に出る』

学校って、ちょっと不気味。夜の校舎はもっと不気味で怖い・・・。
どこの学校にも必ずと言っていいほど怪談話があります。
似鳥鶏さんの『理由あって冬に出る』(東京創元推理文庫)もそんな感じの作品。

「芸術棟」にフルートを吹く幽霊が出るらしい・・・」そんな噂が広がり、芸術棟で練習をしている吹奏楽部の部員がその噂に怯えて練習に来なくなった。
送別演奏会のための練習をしないといけないのに・・・・。
幽霊を否定するために芸術棟の調査を始める、部長と僕、そのほかの野次馬根性丸出しの面々。
しかし、予想に反し本当に幽霊が現れた!?うっそー!!
その話を聞きつけた、文芸部部長で物知り、冷静沈着な伊神さんが加わり、さらなる調査へ!
にわか高校生探偵団が幽霊騒ぎの真相を追う!コミカルな青春ミステリー。

途中でなかなかしゃれた恋愛話もあり!盛りだくさんなエピソードで読み応えがあります。
そして謎を解明する過程は、本格的!しかもラストの衝撃でガツン!

高校生のとき、夜遅くまで部活をやったり、文化祭や体育祭の準備をしたりしていたとき、必ず誰かが幽霊の話をする・・。そんな思い出がよみがえります。ほんわかな気持ちになりました。

『理由(わけ)あって冬に出る』
著者: 似鳥鶏
出版社:東京創元社
価格:¥580(税別)