警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ最新作「回帰」

今野敏先生の人気警察小説シリーズ
「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズの最新作
「回帰」を読みました。
このシリーズは、「隠蔽捜査」(新潮社)「東京湾臨海署・安積班」
(角川春樹事務所)「警視庁捜査一課・碓氷弘一」(中央公論新社)
シリーズと並ぶ、今野作品、警察小説シリーズベスト4の中の1作です。

どのシリーズにも癖のある刑事が登場します。
(一番のクセモノは「隠蔽捜査」の竜崎ですが・・・。)
このシリーズの主人公・樋口顕は「熱い情熱を秘めた静かなる男」
と言ったイメージで、はまさきは安積警部補の次に好きな人物です。

今回は、テロリストが絡んでくる爆破事件。
四谷にある大学の近くで、自動車の爆発事故が起こった!
警視庁強行犯係の樋口は早速現場へ急行した。
大学関係者2名が死亡、多くの怪我人が出た爆発事故は、
調査の結果、「爆弾」によるものだと判明する。

宗教テロが疑われる中、現場近くで中東系の若い男がいた
との目撃情報が出た。
その男は現場近くの大学の学生のようだった。
樋口たちはさらに情報収集に動き出すが、上司である
天童管理官から、かつての部下で今は国際テロ組織に
入ったと噂される、因幡から連絡が入ったと打ち明けられる。

このタイミングでそのような噂のある男と会うと言うのは
警察官として危険ではないのか・・・?
樋口は危惧したが、因幡は「テロを防ぎたい」と
言ったという。
この爆発事件の捜査本部には、公安部も参加している。
本部としては公安に出し抜かれる前にどんな情報でも
欲しいところだ。天童と樋口は二人で因幡に会うことにした。

そして、捜査本部では、目撃された中東系の学生の
取調が行われていた。

テロの脅威を前に日本の警察はどう動くのか?
テロを防げるのか?
目撃された中東系の学生を拘留し捜査官たちは先走る。
これ以上犠牲者を出したくない思いはわかる。
しかし証拠もはっきりとしない現状で、この学生が
テロの一員なのか・・・?断定して良いのか?
迷う刑事たちの前で、樋口は警察官として決断を下す。
その姿勢に胸が震えます・・・。

事件の様相は、目撃者の証言でさらに混迷を極める・・・。

練りに練られた事件の展開、捜査員たちの動き、
関係者の証言から次第に真実にたどり着く過程は
何度読んでも面白い!

『回帰 警視庁強行犯係・樋口顕』
著者:今野敏
出版社:幻冬舎
価格:¥1,600(税別)

元・女性刑事の再生と恋を描く!「冬芽の人」

「新宿鮫」シリーズの著者・大沢在昌さんの作品。
元刑事の女性が主人公の「冬芽の人」。
今年の4月に鈴木京香さん主演でドラマ化されたようです。
(残念ながら視られなかった!!視たかったな~。)

大沢さんの描く作品は、鮫島刑事のようなクールで、
悪い奴は徹底的に倒す、そんなハードなイメージが
ありましたが、「冬芽の人」は、心に深い疵を
持つ元女性刑事が主人公だったので、どんな
作品なのか非常に興味を惹かれ読んでみました。

警視庁捜査一課の刑事だった、牧しずりは、6年前信頼する相棒の
先輩刑事とともに強盗殺人事件の容疑者と思われる男の家を訪ねた。
ところが、しずりは容疑者と思われる男に突き倒されてしまう。
そして先輩刑事は、しずりをかばって階段から転げ落ち大けがを負う。
容疑者と思われる男はそのまま逃走した。しずりは男を追ったが
走行中のトラックにはねられ死亡した。
病院に搬送された先輩刑事は、その怪我がもとで亡くなってしまう。

この事件は、捜査本部内でも疑惑の眼が向けられた。
なぜ死亡した男が容疑者だと思ったのか?
死亡した刑事と容疑者の間ではどんな会話が為されたのか?
しずりは先輩の言う通りの行動をとっていたため、何もわからなかった。

妻がありながら、しずりに好意を寄せていた先輩刑事。
自分をかばって亡くなった。彼の妻からはそう責められ、
しずりは罪の意識にさいなまれ、刑事を辞めた。

1年後、普通のOLになったしずりだったが、過去にとらわれ
会社内でもなかなか打ち解けることが出来なかった。
そして5年が経過した・・・。

しずりは、いつものように先輩刑事の墓参りに行った。
そこで一人の青年・岬人と出会う。
岬人は、なんと先輩刑事の息子だったのだ。
先輩刑事が亡くなった時、しずりを責めたのは2番目の妻で、
岬人は、先輩刑事の最初の妻との間に出来た子どもだった。
驚くしずり。しかし岬人のさわやかな態度と優しい心遣いに
頑なだったしずりの心は次第に解けてゆく。

岬人はしずりから6年前の事件の経緯を聞くと、納得できないような
ことを言いだした。自分の父親の死の裏で何か起こっていたのではと。
しずりも忘れようとしていた当時の事を思いだし、元刑事の感が
蘇ってきた・・・。

そんなある日、岬人から連絡が入った。
6年前、強盗殺人事件の容疑者をひいたトラック運転手が
岬人のバイト先で働いており、「合法的に人を殺せる。
大型トラックでひいてしまえばいい」と話していたというのだ。

しずりと岬人はその男が本当に6年前に容疑者をひいた男かどうか
確認するため、男が通っている食堂で待ち伏せをした。
しずりはやってきた男を見た時、間違いないと感じた。
その瞬間、しずりはその男と目があってしまう。
男の眼に宿ったのは、不審・・・そのあとの驚愕!そして怯えだった。
しずりは男の眼を見た瞬間、6年前の事件が何者かに仕組まれたものだと
気がつく・・・・。

しずりは、自分をかばって死んだ先輩刑事へずっと罪悪感を抱いていた。
そして、常になぜ自分は生きているのか・・なんのために生き残って
いるのかを考え続けていた。
それは、岬人との邂逅。そして6年前の事件の真実を白日のもとへ
曝すことなのだと気づく。
しかし、魔の手はしずりだけでなく、現在の彼女にとって命と同じくらい
大切な岬人へも迫っていた。
しずりは命をかけ、岬人を守ると心に誓う。

岬人との邂逅で、過去の自分と決別しようとする、しずりの心の変化が
手に取るようにわかる。
心に深い傷を持った女性が、男性の好意に素直になれない。
その描き方も大人だな~と感じる。

二人で事件に向き合う過程や、次々と関係者が亡くなって
いく不気味さ、何が起こっているのかなかなかつかめない謎に満ちた
ストーリー展開、しずりの底知れぬメンタルの強靭さと、恋に揺れるはかなさ。
それらすべてが絶妙なバランスで描いてあり、さらに大沢さんお得意の
ハードボイルドな展開も申し分ない。

長編だけれどその長さは全く気にならない。
むしろもう終盤!?と物語が終わってしまうのが
惜しいくらいの面白さだった。

次も女性が主人公の「ライアー」を読んでみたくなりました。

『冬芽の人』
著者:大沢在昌
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥840(税別)

萩尾警部補シリーズ待望の第2弾「真贋」!

シリーズ第1弾「確証」は、2013年に「確証~警視庁捜査3課」
というタイトルでドラマ化され、大ヒット!!

それからほんとに待ちました!!!
第2弾「真贋」も面白かったです!!!

警視庁捜査三課で窃盗事件を担当する、萩尾秀一警部補は、
盗犯捜査のベテランだ。そんな彼の相棒は女性刑事・武田秋穂だ。
まだ若いが、萩尾から盗犯捜査のイロハを吸収しようと必死だ。
今や、萩尾の‘頼れる’相棒となっている。

目黒区内で窃盗事件が発生したと無線が入った。
目黒署の管轄だが、萩尾は秋穂ともに現場へ向かった。
萩尾は窃盗の手口をみて、「獲物がある場所だけを狙う」
‘ダケ松’の仕業と見抜いた。

ダケ松は職質をかけられときとっさに逃げ出したらしい。
萩尾は、逮捕されたダケ松に話を聞きに行った。
ダケ松の態度を視て萩尾は、その供述に疑問を持つ。
どうやらダケ松には弟子がいるらしい・・・。
その疑念をそらすように、ダケ松は大物故買屋の名前を明かした。

同じ頃、渋谷のデパートで、陶磁器展が開催されるとの
連絡が入った。そこには国宝の「庸変天目」が一緒に
展示されるらしい・・・。
萩尾はダケ松の話から、大物故買屋がその陶磁器展に
絡んでくるのではないかと睨む・・・。

国宝が展示される陶磁器展に民間警備、萩尾達捜査3課。
さらに、警視庁捜査二課第2係(詐欺・背任・横領の捜査専門)の
捜査員・舎人刑事まで加わり陶磁器展の行方を見守るが、
そこで大事件が勃発する。

「国宝」の真贋に二転三転する捜査。
果たして真犯人は?そしてその手口とは?

盗みの職人VS盗犯捜査の職人!
職人同士のかけひきが見もの!
そして、秋穂の成長に目を見張る。
自信をつけた秋穂が、先輩の舎人刑事を
呼び捨てにするところはとても面白いです。

『真贋』
著者:今野敏
出版社:双葉社
価格:¥1,600(税別)

金融コンサルタントの暗躍をリアルに描く!「不発弾」

食品偽装をテーマに描いた「震える牛」
東日本大震災のボランティアをテーマに描いた「共震」

日本が抱える問題点を炙り出し、鋭くえぐる。
まるでノンフィクションのようなリアルさで迫る。
元・時事系の新聞記者だった著者・相場英雄氏。

そして今回描いたのは、日本経済最大のタブー!!!

日本大手の電機企業による巨額の粉飾決算が発覚し、
記者会見場で上層部が揃って謝罪するシーンから始まる。
記者たちの鋭いツッコミにたじたじの役員たち。
だが、彼らにはまだ逃げる術があるようだ。
彼らの陰に控えるある男は笑った。

警視庁キャリア・小堀秀明は警視庁捜査二課を束ねる管理官だ。
捜査二課は詐欺や贈収賄のほか、企業内の横領や背任行為など
知能犯を専門に摘発する。
日本大手の電機企業・三田電機は巨額の粉飾決算が発覚し
記者会見を行ったばかりだ。小堀は巨額の粉飾があったにも
関わらず、上場廃止にならない三田電機に疑惑を持った。

小堀は、金融界の様々な人物に接触し、捜査するうちに
ある金融コンサルタントの存在を掴む。
ターゲットをその男に絞り込み、過去にあった企業内の金融がらみの
事件を調べてゆくと、不審な自殺や事故で関係者が亡くなって
いることが判明する・・・。

その男は、バブル直前に証券会社に入社し、激動の金融業界を
あらゆる手段を講じて生き延びた。
そんな男が仕込んだ「不発弾」は、予想を超える規模でこの国を蝕んでいた・・・。

日本経済を陰で動かし暗躍し続けた男の半生と、小堀が男の正体を
暴いてゆく過程が交互に描かれて、物語が進むにつれ緊迫感が増してゆく。

実在の企業や人物は、もちろん名前を変えて描いているが、読んでいると
誰だかわかるようになっている。
これが事実ならば、この男が仕込んだ「不発弾」がいつ爆発しても
おかしくない。わずかな導火線で爆発は連鎖するだろう・・・・。
日本経済は崩壊するのか・・・?

そんな恐ろしい予感が常につきまとう、不穏なこの作品は鳥肌ものだ!!

『不発弾』
著者:相場英雄
出版社新潮社
価格:¥1,600(税別)

15歳の少年のひたむきさに涙。「特捜部Q知りすぎたマルコ」

北欧の人気警察小説シリーズ「特捜部Q」。
シリーズ第5弾は、15歳の少年・マルコが事件の
鍵を握るキーマンとして登場。

15歳といえど、このマルコの行動力に目を見張る!!!

2008年秋、カメルーンで農業開発援助の
プロジェクトリーダーの青年が何者かに
殺害された!!青年は最後の力を振り絞ってメールを打つ。
その青年から届いたメールに不審を抱き、連絡を
とろうとする外務省上級参事官のスターク。
カメルーンで何が行われているのか?
外務省開発援助事業評価事務局の局長である、上司のレ二に調査を
進言するが、スタークが強制的にカメルーンに出張させられる。

2010年、デンマークのコペンハーゲン。小さな町で、15歳の少年・
マルコは、叔父が牛耳る窃盗団での仕事に嫌気がさし家出を考えていた。
ある時、叔父たちの恐ろしい秘密を知ってしまい逃亡する。
そして逃げ込んだ森であるものを発見する。
マルコに秘密が知られてしまい、さらに窃盗団一の切れ者
マルコを失ってはどうなるかわからないと判断した叔父は、
何が何でもマルコを連れ戻す、さもなくば消す!と決意する。

そして2011年、コペンハーゲン署・特捜部Qのカール・マーク警部は
前回の事件で大けがを負ったアサドと紅一点のローセとともに新たな
未解決事件に向きあっていた・・・。

今回も登場人物の行動によって年代が前後している。
特捜部Qの行動のみが現在進行だ。
それぞれの年代で起こった事件を、カール達が
ひも解いてゆき、事件の全貌が繋がってゆく。

それにしても、今回はキーマンのマルコのキャラが素晴らしかった。
非道な追跡者たちの追及をかわしまくり、すんでのところで逃げ切る。
カール達も途中でマルコの存在に気がつくが、なかなか保護できない。
追跡者たちのあまりのしつこさに、読んでいて、もういい加減に
マルコを助けてあげてよ!!!と何度も思った。

そして、第5弾まで読んでも、カール、アサド、ローセの3人の
キャラが把握できず、いつも振り回されている感が
あったが、マルコのおかげでこいつらほんとは
めっちゃ優しいんだなあ~ということがわかった。

さらに、カールのプライベートにも変化が訪れる。
「知りすぎたマルコ」の面白さはシリーズ中一番だと思う。

『特捜部Q 知りすぎたマルコ』
著者:ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田薫訳
出版社:早川書房
価格:¥2,000(ポケットミステリ版)
   上下各¥800(ハヤカワ文庫版)
(いずれも税別)

このミス大賞!2017隠れ傑作登場「縁見屋の娘」

「京の縁結び 縁見屋の娘」三好昌子著(宝島社)は
第15回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞作。

このミス大賞には、大賞のほかに隠し玉とか、この作品の
ように、大賞作品の次点で優秀賞などの賞があり、
隠れた傑作に出会うことが多い。

そしてこの作品も、その隠れた傑作だと思った。

舞台は江戸時代、天明の頃の京都。
そこに「縁見屋」という口入屋がある。
だが、縁見屋の娘は祟りつきで男児を生まず
二十六歳で死ぬという、いまわしい悪縁があった。

18歳になった縁見屋の一人娘・お輪は、母、祖母、
曾祖母がみな二十六歳で亡くなった事を知り、
自らの行く末を案じていた。
年頃のお輪にもそろそろ縁談の話もある。
東雲屋の長男・徳次とは幼馴染。徳次はお輪に
気があるようだが・・・。

そんなある日、お輪は愛宕山から来たという
修行者・帰燕と出会う。
お輪は帰燕に会った瞬間、心を奪われてしまう。

謎めいた帰燕は、お輪の悪縁を知りその呪縛を
断ち切るという。
一体どうやって・・・?

縁見屋の娘はなぜ男児に恵まれないのか?
なぜ26の歳で死んでしまうのか?
4代にわたり縁見屋を祟り続けているものは何なのか?
帰燕は一体何者なのか?
お輪と帰燕の絆はどうなるのか?
そして、お輪の悪縁は断ち切ることが出来るのか?

数々の謎が解き明かされ、全ての真実が繋がったとき、
スリリングかつファンタジックな世界へとなだれ込んで行く!

時代小説にラブストーリー、SFファンタジー、
ミステリー的要素を盛り込んだ、申し分ない面白さ!
京言葉にも注目!お輪の可愛さが際立っています!!

『京の縁結び 縁見屋の娘』
著者:三好昌子
出版社:宝島社(文庫)
価格:¥650(税別)

日本の刑事事件の過程をリアルに描いた骨太のミステリ作品「沈黙法廷」

先日、佐々木譲さんの法廷小説、「沈黙法廷」(新潮社)を
読みました。ハードカバー、500ページ超の長編大作です。

内容は、連続男性不審死事件を取り扱った骨太のミステリー作品。

東京で、一人暮らしの初老男性の絞殺死体が発見された。
捜査を開始すると、彼の周りから数名の女性の名前が挙がった。
その中で家事代行業をしている女性が、事件があったと思われる
日に被害者の家を訪ねていることがわかった。

その時は参考人という形で話を聞こうという程度だったが、
警視庁の刑事たちが張り込みをしている時に
埼玉県警の刑事とかち合った。
その女性は、埼玉で起きた男性不審死事件でも名前が挙がったと言うのだ。

2件の事件に名前が挙がったことで、埼玉・東京いずれも
彼女が黒星だと断定。しかし埼玉では証拠を集めきれず釈放。
その後すぐに警視庁が女性を逮捕した。
しかし女性は取調中ずっと無罪を主張し続けた。その態度に
一部の捜査員は本当に彼女がやったのかと疑問を持つが、
本部は女性一本に絞って容疑を固めてしまい、
やむなく状況証拠だけで立件した。

男性の変死体が発見された状況から、警察の捜査状況、
さらに、容疑を固め立件するまで、読んでいると
ドラマチックな展開は無く淡々として非常にリアルだ。

容疑者とされる女性の過去、埼玉で殺害された男性との
関係、さらの家事代行の仕事と称して、初老の男性を
訪ねた経緯、殺害に使われた凶器について、女性の
行動といちいち重なっている。
だが、一方女性はたった一つの家事代行の仕事を必死に
こなし、健気に生きているように見える。慎ましく
地味に、決して他人に迷惑をかけるようなことは
無いだろうと思わせる。
そんな彼女が強盗殺人など行えるだろうか・・・?
それとも周囲にそう思わせる演技が出来る稀代の悪女
なのだろうか・・・?
わからない、最後の最後までずっと疑い続けてしまう。
それが著者の狙いなのか・・・?

法廷での検事と弁護士のやりとりは圧倒的な臨場感があり、
まるで傍聴席にいるような錯覚を覚える。

一つの事件を徹底的にリアルに、丁寧に描くことにこだわった
この作品はフィクションでありながら、ノンフィクションでは
ないかと思わせる。
ただのミステリー作品ではなく、読者をグッと引き寄せ、最後まで読ませる
事件小説だと感じた。

『沈黙法廷』
著者:佐々木譲
出版社:新潮社
価格:¥2,100