傑作!警察小説アンソロジー集「偽りの捜査線」

誉田哲也、大門剛明、堂場瞬一、鳴神響一、
長岡弘樹、沢村鐵、今野敏。
今、人気の作家が描く警察小説の傑作短編。
単行本で出てもおかしくない作家さんたちの
作品を集め、いきなり文庫で登場!

大手電通会社のヤマシロメグミという女性が
殺害された。その容疑で警察に逮捕されたのは、
警視庁公安部の佐島賢太の旧友、稲澤敏生だった。
彼は、佐島になら話をしても良いと言っている
らしい。佐島は上司の命令で拘留中の稲澤の
取り調べに当たることになったが・・・・。
誉田哲也「レイン」

年をとっても、能力に衰えを見せない優秀な
警察犬・レニー。その指導士・野見山も
レニーの能力に絶大な信頼を置いていた。
そんな彼らに、爆破事件の裁判で再検証の
依頼がきた。再検証だと?野見山はレニーの
能力を疑う弁護側をへこまそうとするが、
レニーのある癖に気づく。
レニーをかばう野見山がやったこととは?
大門剛明「手綱を引く」

刑事になりたて27歳の岩倉剛は、強盗殺人の
現場で、強盗のある「手口に」に気づく。
その手口は、最近何かで読んだ記憶があった。
捜査会議で、先輩に発言を促されその旨を報告
すると、独自で捜査しろと言われる。
岩倉の特異な記憶力が功を奏した。
「ラストライン」シリーズの若き岩倉剛の捜査録。
堂場瞬一「手口」

怪盗タイガースアイから、犯行声明が
相次いで届いた。
結婚式で新婦がつけていたダイヤの
ネックレス、銘品の展示会の高級茶碗、
ジュエリー展示会で盗まれたティアラ。
怪盗タイガースアイの鮮やかな手口。
厳重な警備の中、いったいどうやって・・・?
鎌倉署の小笠原亜澄巡査部長の推理が冴える!
鳴神響一「虚飾の代償」

交番勤務の警察官が自殺した。
彼と同じ交番に勤務していた平本は、
彼が、先輩からパワハラを受けていた
ことを知っていた。
その先輩警察官が、交代時間になっても
休憩室から出てこなかった。
様子を見に行った平本は彼が死んでいるのを
発見する。事故か?それとも事件か?
著者らしい謎の仕掛け方に驚愕する。
長岡弘樹「裏庭のある交番」

JAXAで「はやぶさ2」の拡張ミッションを
行っている途中で事件は起こった。
はやぶさプロジェクトナンバー2のサブ
マネージャーがトイレで刺されたのだ。
神奈川県警捜査一課の大地は、早速現場へ
向かった。
殺害現場に残された、奇妙なカプセル、
宇宙開発にはやぶさプロジェクト・・・。
大地にとって未知の世界のことばかり。
そんな中で、事件は解決出来るのか?
沢村鐵「類まれなるランデブー」

公安外事一課の倉島刑事は、上司から
「あるロシア人を洗ってほしい」と命じられる。
同じ部署で事件担当の白崎とともに相手の
行動確認を行うことに。
それには、彼が必要だった。
倉島が指名した彼とは!?
今野敏「ニンジャ」

人気シリーズのスピンオフから書下ろしまで
楽しめる!
とても贅沢な警察小説アンソロジー。

『偽りの捜査線 警察小説アンソロジー』
著者:誉田哲也/大門剛明/堂場瞬一/鳴神響一/長岡弘樹/沢村鐵/今野敏
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥902(¥820+税)

県警のアマゾネス最大のピンチ!「越境刑事」

県警のアマゾネスの異名をとる、高頭冴子警部が
主人公の警察小説。「逃亡刑事」に続く、
「越境刑事」を読了。

今回、高頭警部は命の危機にさらされる。
そんな中でも、彼女の芯である、「正義」
を全うしようと命がけで闘う姿に心を打たれる。

千葉県警捜査一課で検挙率トップの班を
率い、アマゾネスと異名をとる、
強行犯係の係長の高頭冴子警部は、
正義感が強く、信念もって捜査にあたる
絶対的な上位下達で係をまとめる。
捜査能力にも長け、部下からの信頼も厚い。
身長180㎝、柔道・剣道いずれも強い
そんじょそこらの男どもなど朝飯前に片付ける!

そんな、高頭警部は、最近留学生の不審な
失踪が相次いでいるという噂を耳にする。
その真偽を確かめるために動き出した高頭班。

だが、その数日後、中国国籍で新疆ウイグル
自治区出身の留学生カーリの死体が発見された。
本格的に捜査に乗り出した冴子は、事件の裏に
ある国の捜査機関が絡んでいることを掴む。

そんな矢先、カーリの雇い主のカーディルも殺害された!
さらに、自分の身に危険を感じ、冴子に保護を求めていた
カーリの同僚女性・レイハンが何者かに連れ去られてしまう。
その容疑者を特定した高頭だったが、逃亡されてしまった。

レイハンを救い、事件の真相を暴くため、
冴子と部下の郡山は、中国への捜査を強行するが、
そこで合流した新聞記者とともに、襲撃を受け、
冴子は拉致されてしまう。
そこで冴子は、ウイグル民族が置かれた恐るべき
状況を目の当たりにする。

冴子のおかれた状況は想像を絶する!
日々、命の危険にさらされ高頭は死んでしまうので
ないかと、ハラハラさせられる。
こんな残酷なことがあっても良いのかと、
眼をそむけたくなる。

そんな中でも、絶対に「レイハンを救い出す」という
冴子の強い思いと優しさに泣ける。

著者が命の危険を顧みず、真っ向勝負に出た、
傑作、警察小説!

『越境刑事』
著者:中山七里
出版社:PHP研究所
価格:¥1,870(本体¥1,700+税)

前作を超える衝撃!話題の探偵コンビシリーズ3作目「殺しへのライン」

ホロヴィッツ自身が作品中に本人役で登場し、
元刑事の偏屈探偵・ホーソーンと
コンビを組んだシリーズ「メインテーマは殺人」、
「その裁きは死」に続く3作目が
本書「殺しへのライン」。

待ちに待ったホロヴィッツ&ホーソーンの
コンビが活躍する新作!
今回はどんな展開が待ち受けるのか?

「メインテーマは殺人」の発売を3か月後に控え、
プロモーションの打ち合わせが行われた。
ホーソーンも呼ばれたが、なかなかやって来ない。
ホロヴィッツは、半ばあきらめていたが、
30分遅れてやってきた。
最初からこの調子で、本当に大丈夫か?
ホロヴィッツは不安にかられる?

プロモーションの場所は、チャンネル諸島の
オルダニー島。
初めて開催される文芸フェスらしい。
ホロヴィッツは絶対に行きたくないと言ったが、
ホーソーンは乗り気で、結局行くことになった。

島に着き、文芸フェスの関係者と楽しそうに
話をする、ホーソーンは珍しく終始上機嫌だった。
イベントの中で、トークショーがありホーソーンは
司会者の質問に礼儀正しく答えている。
ホロヴィッツには話さなかった、プライベート
なことも進んで話している。
ホロヴィッツはホーソーンの新たな一面を
知り驚いた。

その後のパーティーで様々な参加者たちと
話をするうちにホロヴィッツは何となく
不穏な空気を感じ取った。

怪しげな霊媒師、過去に性犯罪で批判された
大富豪。胡散臭い詩人・・・。
さらに、ホーソーンを目の敵にする男など、
曲者たちのオンパレードだ・・・・。

そして、殺人事件が起こった!?
文芸フェスの関係者の一人が死体で発見されたのだ。

今作は殺人事件が起きるまでに、様々な
エピソードが描かれる。
事件が起きてからの怒涛の展開に
ハラハラドキドキさせられる!

関係者からの聴取で、小さな違和感を
見逃さず、そこから推理を組み立てて
事件の真相に繋げて行く過程が、本当に
面白かった。

周囲の空気を全く読む気がない「超」
KYだが、卓越した推理力で事件の真相を
暴く探偵・ホーソーン。
「超」人気のミステリー作家でありながら、
自虐と思わせるほど作中で無能さを
アピールするホロヴィッツ。
このコンビ、ほんとにツボにはまる!

犯人当てミステリーの面白さがこれでもかと
詰まった、傑作ミステリー。

ほんとにいつも思うけれど、
なんでこんなに面白いの?

『殺しへのライン』
著者:アンソニー・ホロヴィッツ著/山田蘭訳
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥1,210(本体¥1,100+税)

史上最年少受賞!第68回江戸川乱歩賞受賞作「此の世の果ての殺人」

第68回江戸川乱歩賞受賞作は「此の世の果ての殺人」
著者は、なんと23歳の女性。乱歩賞史上最年少での受賞。

さらに内容は、人類滅亡を数か月後に控えた
日本で殺人事件が起き、女性二人が事件の謎を
解いてゆくという斬新な物語。

2022年残暑、小惑星が熊本県阿蘇郡に衝突
すると発表された。
衝突まで残された時間はわずか半年。
人類滅亡がほぼ確定された中で、人々は
衝突地点から少しでも遠ざかろうと
大移動を始めた。
世界中で大パニックが起こっていた。
日本もそのそのニュースに衝撃を受け、自殺
する人が大量に出た。
そして、街からは人々が消えた・・・。

小春はある目的のために、自動車学校に
通っている。両親は自殺してしまった。
道端には、死体が転がっている。
食物を置いている店は、荒らされ何も
無くなっていた。
小春の家はコンビニを営業していたため、
人類滅亡のニュースを聞いた父親が
食物を貯めこんでいたので、小春は食べ物には
困っていなかった。

自動車教習所の女性教官も、逃げださず、
なぜか小春の指導をやってくれる。
そんなある日、教習車のトランクの中から
メッタ刺しにされた女性の遺体が見つかった。

教習所の女性教官は、元警察官だった。
小春は彼女と二人、管轄の警察に通報に向かった。
そこで、同様の手口で殺人事件が各地で起きている
ことを知る。

此の世の終末に、殺人を楽しんでいる奴がいる!?

理不尽この上ない殺人鬼に対し、警察官魂に火が付き、
激しい怒りを感じた元女性警察官。
絶対に許さない・・・その思いで、小春と二人
事件を追って移動を開始する。

街から人が消える、自殺者の死体が転がっている・・・。
スーパーやコンビニからは食べ物が強奪される。
此の世の終わりの街の描写があまりにもリアル。

移動を続ける中で、逃げ遅れた人々との繋がりも
出来るが、心が壊れてしまった人もいる。
社会生活を営む上でのルールが崩壊したとき
人はどこまで壊れてしまうのか?
どこまで、醜い本能があらわになってしまうのか?
想像を絶する展開が続く。

そして、小春と女性教官、その仲間たちが
調べあげた事実を積み重ね、事件の謎をロジカルに
解き明かしてゆく。
その真相とは・・・・!

圧倒的筆力で描かれる此の世の終焉!
驚くべき斬新な設定、魅力的な登場人物、
ロジカルに解明される謎。
凄すぎるパワーとインパクトで迫る!
その面白さがこれでもかと堪能できる

『此の世の果ての殺人』
著者:荒木あかね
出版社:講談社
価格:¥1,815(本体¥1,650+税)

人気シリーズ天久鷹央の事件カルテ最新作「生命の略奪者」

知念実希人さんの人気シリーズ「天久鷹央の事件カルテ」
最新作「生命の略奪者」読了。
相変わらずの天久先生と小鳥遊、その仲間たちの
活躍、安定の面白さでいっき読み。

東京から新横浜へ向かう新幹線の中で、
移植のために心臓を運んでいた、移植
コーディネーターが何者かに襲われ、
大切な「臓器」が奪われてしまった。

さらに、今度は、天久鷹央が副院長を
務める天医会総合病院でも同様の
事件が起こった。

臓器を運搬する移植コーディネーターが
行方不明になってしまった。
天久や小鳥遊たちも院内の捜索を行ったが
どこにもいない。

やっと連絡がとれたコーディネーターは、
駐車場で頭を殴られ、気を失った間に
臓器を奪われたらしい。

見つかったクーラーボックスは空だった。

心臓・肺・肝臓・腎臓。生命のリレーの
最中、ドナーとなった死者たちの遺志は
無残にも打ち砕かれる。

一体誰が何のために?
様々な状況から、鷹央が推理すると、
あることに気づく・・・。

「臓器移植」をめぐる、恐ろしい思惑。
死者の遺志など顧みず、己のエゴを優先させる
人間たち・・・。

臓器が奪われた、その真相は想像を
絶する、ありえないものだった。

今作は、二転三転する「臓器強奪事件」の
謎に天才女医・天久鷹央が挑む。
鷹央の推理が冴えわたる!!

『生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ』
著者:知念実希人
出版社:新潮社(文庫NEX)
価格:¥693(本体¥630+税)

少女の生きざまに涙が止まらない「われら闇より天を見る」

クリス・ウィタカ―「われら闇より天を見る」
(早川書房)は、
2021年度英国推理作家協会賞最優秀長篇賞
(ゴールドダガー)を受賞した、傑作海外
ミステリー。
ヤングケアラーの少女が、家族を守るために
必至に生き抜く物語。

カリフォルニア州の小さな町。ケープ
ヘイヴンで10代の少女ダッチェスは、
母親と幼い弟と3人で暮らしている。

母親のスターは、酒におぼれ、何度も
救急車で病院送りになっている。
弟のロビンはまだ幼い。
貧しい暮らしや、母親のことで周囲から
孤立しているダッチェスたち。
彼女たちを心配をするのは、警察署長の
ウオークだった。
しかし、ダッチェスは他人に弱みを決して
見せない。自らを「無法者」と呼び、
家族をバカにする大人たちや同級生たちに
敢然と立ち向かった。

ウオークは、30年前に起こった少女殺人事件の
裁判で親友のヴィンセントに不利な証言をして
しまい、ヴィンセントは有罪になった。
そのことをずっと引きずっていた。

そしてヴィンセントが出所し、町へ帰ってくる。
平穏だった町に、さざ波が立ち始める。

そんな時、事件は起こった。
ダッチェスの母親、スターが殺されたのだ!

幼い弟と二人きりになってしまった
ダッチェスは、やがて祖父に引き取られる。
しかし、ダッチェスは彼女たちを顧みなかった
祖父を憎んでいた。
ロビンは祖父に懐いたが、ダッチェスは決して
心を開こうとしなかった。
大人の優しさにすがりたいと思いながらも
裏切られる恐怖に慄くダッチェスだった。
しかし・・・・。

弟のために懸命に生きようとするダッチェス
を次々と悲劇が襲う。

なぜ彼女にだけ・・・。どんなに悲劇に
見舞われようと、絶対に挫けない。
10代の少女なのに、なぜこれほどの強さを
持てるのか?

30年前に起きた、少女殺人事件の真相と
新たに起きた殺人事件の犯人を追うという
ミステリーでありつつ、少女ダッチェスの
強く逞しい生き様を描いた、ヒューマンドラマ。

ラスト一行で、読んでる間ずっと我慢していた
涙が思い切りあふれてきた。

心が激しく揺さぶられる。
この秋、NO1の海外ミステリー。

『われら闇より天を見る』
著者:クリス・ウィタカ―
出版社:早川書房
価格:¥2,530(本体¥2,300+税)

若きキャリア警察官の正義と矜持を描く「祈りも涙も忘れていた」

警察官、検事、役人、一貫して彼らの「正義」
を貫く姿を描く、伊兼源太郎さんの新作は、
若きキャリア警察官が主人公の
「祈りも涙も忘れていた」(早川書房)だ。

著者が愛読する、ハードボイルドと
警察組織を舞台に描かれるミステリー
との融合が奇跡の面白さを生んだ傑作!

26歳という若さで、V県警の捜査一課に
管理官の一人として配属された、新人キャリア
警察官・甲斐。

V県警は、犯罪認知件数が20年連続で、
全国ワーストファイブに入る。
さらに、警官一万人以上が所属する大所帯。

実地経験のないまま、管理官として放火事件の
陣頭指揮を執ることになった。
着任の挨拶をしたとたん、ノンキャリアの
ベテラン警官から嫌味を言われる。

しかし、甲斐は、慣れない捜査の中でも
めきめきと頭角を現す。
その捜査能力を認めない、ノンキャリアの
ベテラン刑事たちに足を引っ張られるが、
甲斐は、覚悟を決める!
キャリアとノンキャリアの対立、
この対決は読みごたえがある!
やがて、甲斐は県警内で捜査の主導権を
掌握してゆく!

しかし、管内では凄惨な殺人事件が次々と
発生する。
まるで見せしめのような死体遺棄、
さらに捜査関係者の不審な死。
その背後に見え隠れする警察関係者。

一連の事件には黒幕がいるのではないか?
そうにらんだ甲斐は、さらに捜査を進めようするが、
彼を待ち受けていたのは、十二年前の警官焼死
事件に端を発する、V県の警察・政界を揺るがす
一大疑獄だった。

そんな中、甲斐の心をいやしたのは
一人の女性との出会いだった。

警察官としての矜持を貫き通す、甲斐。
捜査の過程で大切な人たちを喪い、絶望に打ちひしがれ
ながらも、決してぶれずに事件の真相を暴く、男の
信念に心が震えた。

『祈りも涙も忘れていた』
著者:伊兼源太郎
出版社:早川書房
価格:¥2,200(本体¥2,000+税)

警視庁支援課シリーズ、新局面を描く「誤ちの絆 警視庁総合支援課」

「聖刻」は、犯罪被害者遺族と同じくらい
加害者家族にも寄り添う必要がある
のではないかと問題提起をした作品だった。

その、「聖刻」のヒロイン、女性刑事・柿谷晶が
「警視庁犯罪被害者支援課」から名を改め、
組織再編された「警視庁総合支援課」で活躍する、
彼女の新たな挑戦を描く!
新シリーズの誕生だ。

警視庁犯罪被害者支援課でメンバーを率いて
いた村野は、新たな部署では後方支援に。
プライベートも変化!
出番は少ないが柿谷ほか、総合支援課のメンバー
フォローで登場。

名門高校の男子生徒が、同じ学校に通う
同級生を殺害し、逮捕された。

未成年ということもあり、加害者家族の支援に
回った、柿谷たち。
その事件は、たちまちSNSにあがった。

「聖刻」では、有名なキャスターが加害者
家族となり、SNSで被害にあった。
SNSは、正義の名のもとに加害者家族を断罪する。

そこを心配した柿谷。事の重大さをわかって
いない、加害者少年の父と弟。

しかし、子どもたちのこと、仕事のことで
疲れ果てた父親が倒れてしまう。
彼らの住むマンションの壁面には、すでに
誹謗中傷が書いてあった。

弟の身を案じた柿谷たちは、一時的にでも
避難できる場所を探した。
そんな時、弟の親友が手を差し伸べた。
安心したのもつかの間、今度は弟が親友と
衝突し、親友に怪我を負わせてしまう・・・。

次々と起こるアクシデント、そして、
事件の捜査をする、捜査一課の刑事たち。
加害者家族を守ろうと、彼らと衝突を
繰り返す柿谷。

だが、その捜査中に出合った同級生たち
から聴取した話で、事件の真相は意外な
方向へと向かう・・・。

村野以上に、加害者家族に寄り添う柿谷。
それを理解し、強力する捜査官もいるが、
やはり、柿谷の猪突猛進ぶりは、おなじ
警視庁内で敵を作ってしまうばかりだ。

それを見かねた村野は、柿谷にアドバイスを
するが・・・。

加害者家族に支援は必要なのか?
加害者家族も護らなければならない。
著者の切実な思いがあふれる。

支援課の新局面にふさわしいスタート。

やはり、面白い!!!

『誤ちの絆 警視庁総合支援課』
著者:堂場瞬一
出版社:講談社
価格:¥990(¥900+税)