ミステリー小説探偵・はまさきのミステリー棚が出来るまで!!

10月5日(金)に本の学校今井ブックセンターがリニュアルオープン致します!!
その店舗に、‘ミステリー小説探偵・はまさき’の「おススメのミステリー」コーナーが出来ることになりました!。
これまでこのブログで紹介してきたミステリー作品や、警察小説コーナー、そしてはまさきが大好きな今野敏先生の作品など品ぞろえしていきます。
1段ごとにテーマを設けて展開します!!
1段目は「迷宮入り事件を解決せよ!」、2段目は「乱歩賞受賞作傑作選」、3段目は「ユーモアミステリー」(予定)、4段目は「衝撃のサスペンス特集」、5段目は「大逆転!!法廷小説」(予定)
こちらは平台。今野敏先生のコーナー。
こちらの平台は今野敏先生の「安積班」シリーズ文庫が全点。
次回に続きます・・・。

正義か?悪か?!新ヒーロー!『脳男』映画化です。

第46回江戸川乱歩賞受賞作、首藤瓜於『脳男』(講談社文庫)が映画化です。生田斗真さん主演。

連続爆弾犯のアジトで見つかった、一人の男。
逮捕されたその男は、新たな爆弾の在処を警察に告げた。彼は共犯なのか・・・?
男の精神鑑定を依頼された精神科医・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが、つかみどころがない。あらゆる実験を重ねた結果、男は感情が欠落した、「感情のない」人間だった。
痛みを感じない、運動能力は抜群、一度見たものは忘れない、怪人と言った方が良いのか・・・?そして男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた!!
連続爆弾犯を追う茶屋警部は、男の正体を解明に挑む、鷲谷医師と共に事件の核心に近づいていく!!

「脳男」が抜群な運動神経と頭脳を活かし、悪を狩る!読んでいると何が「正義」で何が「悪」なのかわからなくなる・・・。
この「脳男」のキャラがとても魅力的。そして「感情のない」ということがどういうものか興味深く読めた。
映画化にはぴったりの作品だと思う。しかし「脳男」を演じるのはかなり難しいと思います。
生田クンがどう演じるのか?興味津々。映画、絶対に観たいなと思います。

『脳男』
著者:首藤瓜於
出版社:講談社
価格:¥590(税別)

『江戸の検屍官』めちゃめちゃ面白い時代ミステリー、しかもコミック!

漫画ですが、とても面白い時代ミステリーを発見しました。
『江戸の検屍官』高瀬理恵画、原作は川田弥一郎。(小学館刊)です。
江戸時代にもこんなにしっかり検屍をしていたのには驚きです!

北町奉行所同心・北沢彦太郎は、ほかの同心が嫌がる検屍に情熱を燃やしている。
医師の玄海、若き絵師・お月とともに江戸随一の検屍技術を用いて事件の真相を探る!

井戸から女性の水死体があがった。早速、検屍に向かった北沢はその現場で医師の玄海と合流。そして、玄海が連れていた若い女性と出会う。
彼女は若いながら、あぶな絵を専門とする絵師・お月だった。
あぶな絵を描いていることで、おかみの仕事にさしさわりがあるのでは?と考えた北沢だったが、お月の描く人相描きは、あまりにも本人そっくりで聞き込み先では驚きの連続。
その人相描きで、事件解決が早まった・・。
次々に起こる事件、変死体を丁寧で確かな検屍で謎を解く。時にはその死に寄り添い、時には犯人を憎む。人間の業の深さに驚かされる・・・。

乱歩賞作家で、現役医師の川田弥一郎氏の小説『江戸の検屍官』を、漫画家・高瀬理恵が美しく、リアルな絵で迫力ある漫画に仕上げている。
小説で読むとわかりにくい江戸時代の検屍のやり方が、漫画で描かれることによってとてもわかりやすい。
時代小説好き、ミステリー好きにもおすすめの大人のミステリー漫画です。

『江戸の検屍官 ①~③』
著者: 高瀬理恵 原作/川田弥一郎
出版社:小学館(ビッグコミックスペシャル)
価格:1巻・2巻各¥571 3巻¥600(税別)

今野敏先生の文庫最新刊!『TOKAGE』シリーズ第2弾

警視庁の隠密捜査専門のバイク部隊『TOKAGE』の活躍を描いています。
シリーズ第1弾は、身代金目的の企業誘拐。
大手銀行の銀行員が誘拐され、身代金10億円を要求される!
TOKAGEの隊員たちは、交渉窓口の銀行と、捜査本部に分かれて事件に立ち向かう。
知能犯との対決に捜査が進まず混乱する現場で、特殊班係長の高部が冷静な判断力で指揮。
彼に従う、TOKAGEの隊員・上野、涼子らも的確な判断力と、お互いを信頼しあうチームワークで事件解決に導く。
警察、銀行、新聞記者、3様の目線で物語が展開され、圧倒的な臨場感がある。
第1弾めから、渋くてめちゃめちゃかっこいい警察小説に仕上がっています!!
そして、新刊のシリーズ第2弾『天網 TOKAGE2 特殊遊撃捜査隊』の登場です!
深夜の高速で3件のバスジャック事件が同時に起こった!!
前代未聞の事件にTOKAGE隊を中心に、大規模な追跡が始まる!
しかし、ネットには警察が把握していない、犯人しか知りえない状況が次々に書き込まれ、事件の実況がなされていたのだ!警察を翻弄する、犯人たちの目的とは!?
今回は、TOKAGEになってまだ日の浅い上野数馬がチーフに任命される。
冷静沈着な涼子の行動に刺激を受けながら、チームリーダーとして必死に頑張る上野。
物語の進行とともに、リーダーとして成長していく上野と、彼を信頼していく隊員たちが描かれている。
シリーズごとに進化する、TOKAGEチームの活躍を堪能できる作品です。
『TOKAGE 特殊遊撃捜査隊』
『天網 TOKAGE2 特殊遊撃捜査隊』
著者: 今野敏
出版社:朝日新聞出版
価格:各¥700(税別)

衝撃の展開に!!心霊探偵八雲シリーズ最新刊『心霊探偵八雲8』

心霊探偵八雲シリーズ最新刊『心霊探偵八雲8 失われた魂』(角川書店)はすごい展開となりました!かなりきわどい追い込まれ方!はらはらドキドキがとまりません!
気を失って倒れていた八雲。
やがてひどい頭痛で目が覚めると、側には惨殺された遺体があった。
自分が殺してしまったのか!?記憶があいまいな八雲、混乱する彼の前に現れた制服姿の少女の幽霊・・・・。彼女は「赦さない・・」とつぶやく。
少女を追って歩き出した八雲は、殺人の疑いをかけられ追われる身となる。
一方、後藤から八雲が殺人の容疑者として追われていると知った晴香は、八雲が姿を消す前にある心霊現象の調査を依頼されていたことを突き止める。
8巻では、亡くなった八雲の叔父、一心の師である老僧・英心が登場。
後藤とは何らかの因縁がありそう・・・。八雲の性格と似た、この老僧と後藤との愛情ある(?)掛け合いが、絶望の淵へと追い込まれる、晴香たちを癒していく・・・。
そして後藤は八雲を救うため、すべてを捨てる覚悟をする・・・・。
毎回毎回新たな展開で、ほんとに面白いです。
八雲ファミリーが今回も大活躍。八雲と晴香の距離も徐々に縮まっていきます。不器用でほんとにまどろっこしいけど・・・。
そして意外なラストに感動!!!
『心霊探偵八雲8 失われた魂』
著者: 神永学
出版社:角川書店
価格:¥629(税別)

宮部みゆき先生5年ぶりの現代ミステリー『ソロモンの偽証』

宮部先生の話題のミステリー、『ソロモンの偽証 第1部』を読みました。
5年ぶりの現代ミステリーということで、宮部ミステリーファンとしては、待ちに待った新作です。
クリスマスの朝、ある中学校で起きた男子生徒の転落事故。
それは自殺なのか?それとも事件なのか!?
転落した男子中学生はそのころ不登校になっており、警察、両親、学校なども自殺だと断定。
しかし、年明けに学校と、同級生の女子中学生の家に、告発文書が届く。
その告発文書で、少し、冷静さをとりもどしていた学校はまたもや不幸の連鎖に見舞われる・・・。
謎に包まれた男子学生の転落事故は、マスコミも含め大きな事件へと発展していく、その過程の面白さもさることながら、現代日本の学校現場の状況と教師たち、生徒たち、また、それらをとりまく大人たちのエゴイズムが非常にリアルに描かれていて、強烈に胸に響く。
大人の思惑をよそに子どもたちは、自分たちの力で事件を解決をしようと立ち上がる。
その勇気に感動!
そして子供たちの勇気ある行動は第2部『決意』へと繋がって行く・・・。
真実はどこにある!?第2部は益々面白くなります!?9月21日発売予定です!
『ソロモンの偽証 第1部』
著者: 宮部みゆき
出版社:新潮社
価格:¥1,800(税別)

宮部みゆき先生の原点『火車』はミステリーの最高傑作!

次々とベストセラーを産み出し、本好きをうならせ楽しませてくれる作家・宮部みゆき。
最新刊は、中学校で起きた事件を生徒たちが裁くという、難しい展開の現代ミステリー『ソロモンの偽証』(新潮社)。
現代の社会問題にも触れ大きな反響を呼んでいる。はまさきも読み始め、読みだしたら止まらない面白さにすっかりはまっています。
その宮部先生の初期のミステリーの最高傑作が、今回紹介する、『火車』(新潮社)です。
山本周五郎賞を授賞し、さらに「このミステリーがすごい!ベストオブベスト」で第1位に輝きました。(20年間のミステリーの中で1位です!)
いまさら紹介しなくても・・・・みんな知っているよ~と言われそうですが、最新刊で宮部先生の作品に出会った読者、まだ読んだことのない読者。
読み出したら止まらない驚異の面白さで、おススメの作品です。

事故で休職中の本間刑事は、銀行員の従弟から、失踪した婚約者・彰子を探してほしいと懇願される。
本間は事情が分からず、従弟にどういう状況で失踪したのか問いただすと、クレジットカードを持っていない彰子にカード契約をすすめたら、審査の段階で彼女が自己破産経験者だと判明した。
従弟に真意を問われた彰子は翌日から姿を消したというのだ。
休職中のため、警察手帳を使えない本間は、雑誌記者を名乗り彼女の身辺を捜査する。
最初は彰子が勤務していた会社の社長に話を聞いた。
彰子の履歴書を見るとその容貌の美しさに驚く。
夜の仕事には手を染めていず、慎ましやかで清楚な雰囲気が漂っていた。
次に本間は彰子の自己破産の手続きをした弁護士に話を聞く。
そこで聞いた彰子は、先の会社で聞いた彰子とは似ても似つかない女性だった。
明らかに別人・・・。
本間は、従弟の婚約者の彰子は、偽物の彰子ではないかと疑い始める。
もし彼女が偽物ならば本物の彰子はいったいどこへ消えたのか・・・・?

本間刑事が彰子の身辺を調べれば調べるほど食い違う彰子像。
はっきりしない、でもなにかとても怖いことが起こっているという、不気味な感覚がひたひと忍び寄ってくる・・・。
追い詰められた人間の怖さと、平凡な幸せを追い求める女性のはかなさ、悲哀を見事に描いている。そして現代社会の病理をも鋭くえぐる。
巷にあふれる女性があこがれてやまない商品の数々。
欲しいものを手に入れるために安易にクレジットカードを使う。
クレジットカードの魔力に取りつかれ、社会から脱落し、借金地獄にあえぐ若い女性たちの生態をも生々しく描いている。

現代社会の病理とサスペンスを見事に融合させた、社会派サスペンスミステリーの最高傑作です。

『火車』
著者: 宮部みゆき
出版社:新潮社
価格:¥990(税別)

新たなジャンル鉄道警察の奮闘を描く!『追跡 警視庁鉄道警察隊』

『M8』、『TSUNAMI 津波』、『東京大洪水』など、パニック小説を中心に描かれていた、高嶋哲夫氏が警察小説を描かれました!
しかも縁の下の力持ち的部署‘鉄道警察’が舞台。
刑事部(課)が舞台の警察小説が多い中、鉄道警察にスポットを当てた作品は今まであまり無かったので、とても興味深く読めました。
警視庁鉄道警察隊は、警視庁では地域部に所属。隊本部のほかに、東京、新宿、上野、立川の各駅に分駐所が置かれている。
この作品では、新宿分駐所第二中隊、第五小隊に所属する、警察官になって3年目の小松原梓が主人公。相棒は、大先輩の警察官・岩佐だ。
二人は警乗中の電車内で女子高生のバッグが何者かに切り裂かれるという事件に遭遇。
そこで追っていた外国人スリ集団を逃してしまう・・・。
都内を運行する列車内で、スリと切り裂き事件が相次いで発生していた。
切り裂き事件は、あっさりと犯人が逮捕された。
軽い認知症を患っている初老の女性が、夫とともに自主してきたのだ。
切り裂き事件は解決したかに見えたが、しばらくしてまた切り裂き事件が起こる。
今度はバッグだけではなく、明らかに女性の体も狙っていた!?そして犯行は次第にエスカレートしていく。
師走の列車内で蠢く犯罪を、小松原たち鉄道警察隊が追い詰めていく!!!
鉄道警察隊は、日々警乗する列車内で様々な事件、事故に遭遇する。
だが、「現行犯逮捕以外は事件現場の現状維持」しかできない。
必死に事件を追っても、ほかの部署に手柄は持って行かれてしまう。
若い小松原はそれが納得できず、時に憤り、先輩刑事にやつあたり・・・。
しかし仲間に励まされ事件を追っていくうちに、小松原は鉄道警察隊での仕事にやりがいを見出していく・・・・。
鉄道警察隊の日常が非常にリアルに描かれていて、とにかく興味深い。
また、エスカレートしていく切り裂き事件の犯人が徐々に姿を現していく過程は、サスペンス仕立てになっていて非常に面白かった。
ぜひぜひシリーズ化してほしい作品。
『追跡 警視庁鉄道警察隊』
著者: 高嶋哲夫
出版社:角川春樹事務所
価格:¥667(税別)