戦慄のサスペンスミステリー「すべてのドアを鎖せ」

世界20か国で翻訳されたベストセラー
日本初登場の作家、ライリー・セイガ-著
「すべてのドアを鎖せ」を読みました。

何が起こっているんだろう・・・?
不安を掻き立てられるような構成に
魅了され、いっき読み!
物凄く面白かった。

仕事を首になった日、彼の浮気が発覚!
激怒し、ショックのを受けたジュールズは、
彼のアパートから出て行った。

そんなジュールズは、マンハッタンに
ある高級アパートメントの求人広告に
飛びつく。

それは、マンハッタンに100年近く建つ
「バーソロミュー」というビルの空き
部屋の番人という仕事だった。

短期間の契約で月に4千ドルの報酬
失業中の上、身寄りもないジュールズに
とっては破格の条件だった。

ただし、居住するにあたっての条件は
非常に厳しいものだった。
来客禁止、外泊禁止、居住者の邪魔に
なることはご法度。

ジュールズの親友・クロエは高額な
報酬と奇妙な条件の話を聞いて、絶対に
おかしい、怪しいと言った。
そして、かつて「バーソロミュー」で
起きた事件や、噂を掲載したニュース
サイトをジュールズに送るが・・・。

クロエの気遣いをありがたいと思いながらも
ジュールズにとってこの仕事は最後の希望だ。
そんなに簡単に諦めることはできない。

全ての条件をのんで、その空き部屋に入居した。

ところが、その夜奇妙な音を耳にする。
ジュールズはその夜から建物の不気味さに
悩まされるのだった・・・。

不安に陥ったジュールズは、自分と同じ
番人としてアパートに住んでいる人たちと
ともに、この高級アパートメントに
ついて調べはじめるが、仲良くなった
番人の一人が消息をたってしまう!

ジュールズが危険を顧みずに、密かに
調査を続ける過程の描写は、危機感を
どんどんあおっていき、とんでもない
ことが起こるのではないかと、ドキドキ
してしまう。

そして、建物の歴史の裏に隠された
戦慄の真相に愕然とする!!

ホラー!サスペンス!スリラー!
ノンストップですべての怖さを
味わえる!

『すべてのドアを鎖せ!』
著者:ライリー・セイガ-
出版社:集英社(文庫)
価格:¥1,375(本体¥1,250+税)

斜線堂有紀さんの「廃遊園地の殺人」が面白い!

ミステリー界に衝撃をもたらした、斜線堂有紀
さんの「楽園とは探偵の不在なり」(早川書房)。
その衝撃が去らないうちに、この
「廃遊園地の殺人」(実業之日本社)が発売!

二十年前、プレオープン中に銃乱射事件が起こり、
閉園に追い込まれた、テーマパーク・イリュジオンランド。

廃墟コレクターの資産家・十嶋庵は、このパークを
買取り、廃墟マニアのために条件付きで解放した。

廃墟マニアのコンビ二店員・眞上は、狭き門を
くぐり抜け、廃遊園地に招待された。
そこには眞上の他に、イリュジオンランドの
元従業員たちも招かれていた。

十嶋は彼らに『イリュジオンランドは、宝を見つけた
ものに譲る』と伝言した。

この廃遊園地の元従業員ほか、招待客たちは、
宝さがしを始めるが、翌朝串刺しになった
血まみれの着ぐるみが見つかる。
着ぐるみの中で死んでいたのは、元イリュジオン
ランドの経営陣、主道だった・・・。

次々と起こる殺人、犯人はこの中にいるのか?
そして、事件の動機とは何なのか・・・?

廃遊園地で起こる事件と、20年前にイリュジオン
ランド建設に関して、天衝村で起こっていたことの
回想シーンが交互に描かれ、事件の真相に
近づいてゆく・・・。

そして、最後に真実を見つけ出すのは!?

謎解きの過程がとても面白く、読み応えが満点!

『廃遊園地の殺人』
著者:斜線堂有紀
出版社:実業之日本社
価格:¥1,980(本体¥1,800+税)

第67回江戸川乱歩賞受賞作「北緯43度のコールドケース」が面白い!

2021年、第67回江戸川乱歩賞受賞作です!
今年は2作品が受賞しました。

10月に発売された伏尾美紀さんの
「北緯43度のコールドケース」。
この作品、著者の伏尾さん、
長編ミステリー初挑戦、そして乱歩賞
初応募で、初受賞の快挙を成した作品。

デビュー作なのに、まるでベテラン作家
のような風格を感じました。

博士号を持ちながら、30歳で北海道警察の
警察官となった沢村依理子は、その異色の
経歴ゆえ、少し浮いた存在だった。

依理子は、北海道警察本部刑事企画課に
所属していたが、警部補昇進を機に
中南署の強行犯係に異動となった。

そこで、ベテラン刑事・瀧本に師事する。
警察は今でも男性優位社会。しかも
異色の経歴を持つ依理子になんとなく
周囲からのあたりはきつい。
しかし、瀧本は依理子に対し男女の区別なく
捜査方法や取り調べのやり方など丁寧
に教えてくれた。
依理子は瀧本を尊敬するようになる。

ところがある事件の被疑者の取り調べで
瀧本の態度が一変する。

それは、5年前に未解決となっていた誘拐事件の
被害者であった少女の遺体が発見されたことが
きっかけだった。
盗犯係が任意で引っ張て来た窃盗犯が
少女の遺体に関する供述を始めたのだ。
瀧本はその取り調べを強引に始めた・・・。
依理子はその姿に激しい衝撃を受ける。

5年前の女児誘拐事件の犯人と思われる
男はすでに死亡している。誰もが共犯者
を疑った。そして再び捜査本部が設置
されたが、またしても未解決に終わってしまう。

しばらく後、5年前の誘拐事件の捜査資料が
漏洩してしまう。
あろうことか、依理子は漏洩犯としての
疑いをかけられる。

自分の身の潔白を証明しようと、必死で
捜査にあたる依理子。
その過程で、依理子は信じがたい事実を知る・・・。

組織の不条理に翻弄されつつも、正義を
追い求める依理子。
それは孤独な闘いだ。

彼女の切なすぎる過去、家族との確執、
同僚との絆、先輩刑事への思い。

誘拐事件の謎解きの過程が緻密な伏線を
配し描かれると同時に、依理子の背景も
丁寧に描かれ、グイグイと読ませられる。

一人の女性の葛藤と、苦悩を乗り越え
刑事として成長してゆく主人公の
姿がまぶしい。

これがデビュー作か!?と突っ込みたくなる
くらい読み応えたっぷりで読後の満足感も
半端ない!

傑作!!!!本格警察ミステリー。

『北緯43度のコールドケース』
著者:伏尾美紀
出版社:講談社
価格:¥1,925(本体¥1,750+税)

第67回江戸川乱歩賞受賞作「老虎残夢」は傑作!

2021年、第67回江戸川乱歩賞受賞作です!
今年は2作品が受賞しました。

9月に発売された桃野雑派さんの「老虎残夢」は、
これまでの乱歩賞の概念を打ち破る斬新な
設定がいくつもあり、大変楽しんで読む
ことが出来ました。

舞台は、中国「南宋」の時代。
幼い頃に両親を失い、心に決して癒えぬ傷を抱える
蒼紫苑は、医師で武術の達人、碧眼の梁泰隆を
父と仰ぎ、師と尊敬し、女の身でありながら、
ただひたすら武術に励んでいた。

しかし、紫苑は誰にも言えぬ秘密を抱えていた。
それは、一緒に暮らす、泰隆の養女・恋華と
愛し合っているということ。

二人の恋は、破滅を意味するのだ。

泰隆は、己が体得した武術の秘儀を伝授
するため、最も信頼できる武侠三人を招いた。
その宴席では誰もが昔話に花を咲かせた。

ところが翌日悲劇が起きる!
泰隆が孤島の別邸で死んでいたのだ。
そこは、簡単にいくことが出来ない。
圧倒的な密室だった・・・・。

亡くなった泰隆以外は、紫苑。恋華、
そして泰隆が招いた3人の武侠しかいない。
泰隆を殺した犯人はこの中にいるのか!?

紫苑と恋華には秘密があり、それは殺害
動機にもなり得る。
3人の武侠にもそれぞれ何らかの秘密が
あった。しかし・・・。

彼らは事件の謎を解いてゆく・・・。
やがて、とてつもない泰隆の秘密が
明らかになる!

ロジカルに事件の謎を解き明かしてゆく
過程のワクワク感。

さらに、最強の武侠登場と武術では軽攻、
内功、外攻など、およそ想像もつかない
アクションが繰り広げられ、手に汗握る
緊張感が半端ない。

それに加えて、女性同士の恋愛(百合)
要素も加味され、今までの乱歩賞には
なかった斬新な設定に驚きの連続!

選考委員絶賛も当然だと思う!
「文句なく面白い」傑作ミステリー!

『老虎残夢』
著者:桃野雑派
出版社:講談社
価格:¥1,870(¥1,700+税)

堂場作品初!女性刑事が主人公「聖刻」

これまで数々の警察小説のシリーズを
描いてきた堂場瞬一さん。
この「聖刻」(講談社)で初めて
女性刑事が主人公として描かれます。

朝のワイドショーで長く司会を務める
人気司会者の息子が、元恋人を殺害した
として自首してきた。

捜査一課の女性刑事・柿谷晶は、
取り調べを行うが半落ちだった。
犯行は自供するが、動機の追求を
すると黙秘してしまう・・・。

晶は、犯行動機を探るため、被疑者の
家族を聴取する。
しかし、家族はネットの誹謗中傷に
悩まされていた。
さらに、被疑者の父親は、息子の
事件の責任をとり、ワイドショーの
司会の仕事を辞め、テレビの仕事も
引退すると宣言した。
それでもネット上では説明責任が
果たされていないなど、身勝手な中傷が
まるでこれこそが正義だといわんばかりに
拡散されていたのだ。

事件を起こしたのは加害者なのだ。
その家族だからと言って、理不尽に
責められる・・・。そんなことが
許されていいのか?

「正義」という名のもとの「悪意」
がどんどん拡散され、加害者家族を
追い詰める・・・。

事件の真相を探るため、被疑者の家族に
張り付く晶だが、自らの過去と重なり、
いつの間にか心を寄せるようになる。

そして、犯罪被害者支援課の村野たちと
協力し、尽きることのない被害者家族への
「悪意」と闘いながら捜査を続ける晶。

だが、またしても悲劇が起きてしまう!

加害者と被害者の狭間で苦悩する柿谷。
事件の真相にたどり着くことは出来るのか?

事件の被害者に寄り添う村野たち支援課
メンバーの働きから事件の真相に迫った
「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ。

しかし、犯罪被害者遺族と同じくらい
加害者家族にも寄り添う必要がある
のではないかと問題提起をした本作。

加害者家族に向け、ネット内で繰り
広げられるすさじい誹謗中傷。
何の権利があってそこまで貶めるのか?

加害者家族をも護らなければならない。
著者の切実な思いがあふれる。

そして、「警視庁犯罪被害者支援課」が
新たな局面をむかえる。
傑作警察サスペンス!

『聖刻』
著者:堂場瞬一
出版社:講談社
価格:¥1,870(¥1,700+税)

荒木村重VS黒田官兵衛の頭脳戦!「黒牢城」

米澤穂信さんの「黒牢城」(KADOKAWA)
を読みました。
戦国時代の史実をミステリーに仕立てた
米澤さんの意欲作。

織田信長に叛旗を翻して有岡城に
立て籠もった荒木村重は、織田側の
使者として村重を説得するために
やってきた黒田官兵衛を拉致監禁する。

説得に失敗した使者は殺してしまう
のが戦国の世のの習い。
それを曲げた村重を激しく憎む官兵衛だった。

そして、村重の行動は、部下からも
不審を持たれる。

村重についていた武将も、織田の勢いに
おされ次々と離れてゆく。

その武将の息子を人質として預かっていた。
謀反を起こした者の人質もまた殺される
運命にあるが、村重は何故かその人質も
殺さず監禁してしまう。

ところが、その人質が何者かに殺された。
主君の命に背き、人質を殺したのは誰なのか?
犯人は、強固な守りで固めた牢に入った
人質をいかにして殺害したのか?
村重は頭を抱える。
そして、官兵衛に助けを求める・・・。

歴史の事実の裏で何があったのか?
虚実織り交ぜながら、その謎に迫ってゆく。
新たな視点で描かれる荒木村重。

黒田官兵衛を安楽椅子探偵に見立て、
籠城中の有岡城で起きた不可解な
事件の謎を解く。
それを解きあかすことで、荒木村重
という武将の苦悩を浮き彫りにしてゆく。

歴史好き、ミステリー好き、どちらも
満足させてくれる歴史×ミステリー。
とても面白かった。

『黒牢城』
著者:米澤穂信
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,760(¥1,600+税)

鳥肌物の面白さ!再び!「ヨルガオ殺人事件」

ミステリー界に衝撃を巻き起こした
「カササギ殺人事件」の続編「ヨルガオ殺人事件」
が発売になりました!

アンソニー・ホロヴィッツの新作は毎年出ています。
名探偵・ホーソーンとホロヴィッツの
迷コンビものも大変面白く毎回楽しみ
ですが、まさか「カササギ」の続編が出るとは!
大興奮でいっきに読んでしまいました。

元編集者で、現在は夫とともにクレタ島で
ホテル経営を営む、スーザン・ライランド。

ある日、彼女の元へイギリスのホテル
経営者・トレハーン夫妻が訪れた。

8年前に彼らのホテルで、宿泊客が
殺害される事件が起こり、ホテルの
従業員だった男が逮捕された。

その事件をヒントに作家のアラン・コンウェイが
名探偵・アティカス・ピュントシリーズ
「愚行の代償」として発表した。
その編集を担当したのがスーザンだったのだ。

その本を読んだ彼らの娘が、本の中で
8年前に起こった事件の真相を見つけたと
連絡してきた。
ところがその直後、彼らの娘が失踪したという。

スーザンは彼らに失踪した娘の行方と
事件の真相を突き止めて欲しいと懇願される。

自分が編集者だった責任を問われているのか?
多額の報酬も魅力的に映った。
スーザンはイギリスへと旅立つ。

現実の事件と作中作「愚行の代償」で
繰り広げられる殺人事件。

「ヨルガオ事件」という一つの作品の中で
全く違う二つの事件の謎を解いてゆく。
そして、その作中作「愚行の代償」の中に
こそ、現実で起こった事件の真相が
隠されているという。

作家、アラン・コンウェイは
「愚行の代償」にどんな意地悪な
仕掛けを施したのか?

「愚行の代償」は、まさにアガサ・クリスティの
ポアロシリーズを彷彿させる展開。
完璧なクリスティへのオマージュ。
独立した一つのミステリー作品として十分に楽しめる。
そして、この作品がリアルな事件にどう絡むのか?

緻密に配された伏線が徐々に回収されると
とんでもない真相にぶちあたる!!!

「カササギ殺人事件」を凌ぐ面白さ。
これほど完璧な謎解きと犯人当ての
ミステリー作品を描くホロヴィッツに脱帽です。

『ヨルガオ殺人事件 上下』
著者:アンソニー・ホロヴィッツ著/山田蘭訳
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
価格:上下各¥1,100(上下各¥1,000+税)

最強の女スパイ小説第4弾!『十三階の母』

吉川英梨さんの人気シリーズ、
最強の女スパイ・黒江律子が主人公の
「十三階」シリーズの最新作
「十三階の母」を読みました。

黒江律子は、公安の中でもエリート中のエリートが
集められた精鋭部隊、組織は警視庁の「十三階」に
属し、国家をテロリストや異分子から守るため、
時に非合法で非情な手段に出る。
盗聴・盗撮・身分偽装など何でもやる。

前作「十三階の血」で衝撃のスパイ夫婦となった
黒江律子と上司の古池慎一。
しかし、天方首相の娘・天方美月に狙われ
アメリカに逃亡し、息子と3人で束の間の
平和を味わっていた。
しかし、アメリカ滞在中、黒江は何者かに
つきまとわれる。

同じ頃、十三階のトップのもとに黒江の名を
騙った時限爆弾が届き、事態は一変!!

急遽日本へ帰国した黒江と古池。
彼らの子供は信頼する協力者に預けられた。

息子との別離で心を痛める黒江は、
自らの後継者を育てあげることで
バランスを保とうとした。
だが、古池から紹介された女性警官・
鵜飼真奈は、なんと黒江が失敗した
新幹線テロの犠牲者だったのだ。

黒江は鵜飼にテロ失敗は自分に責任が
あったと正直に告白。
彼女に罵倒されたが、その後は黒江を
受け入れ黒江の後を引き継ぐ覚悟を
決める。

「イレブン・サインズ」による
新たな新幹線テロの情報を得た十三階は
鵜飼真奈を投入した。
しかし、鵜飼の必死の捜索にも関わらず
確たる証拠が掴めず、鵜飼のミッションは
終了する。

十三階爆破未遂、怪しいテロ情報など、
十三階はこれまでにないほど不確かな
情報に振り回される。

それは「何者かの意図」によるもの
ではないか・・・?
十三階を潰そうとする黒幕とは?
壮大な「悪意」が十三階に牙をむく!

それを迎え撃つ古池。そして、黒江の母
としての覚悟が、彼女をさらに強くしてゆく。
緊迫のスパイサスペンスシリーズは
新たな局面を迎えた!?

夫婦となった古池と黒江。息子と引き離された
悲しみが黒江の心を押しつぶそうとする。
そんな黒江を深い愛情で支える古池の姿が
ひと際心に刺さった。

次回作が楽しみで仕方ない。

『十三階の母 警視庁公安部特別諜報員・黒江律子』
著者:吉川英梨
出版社:双葉社
価格:¥1,540(¥1,400+税)

斬新すぎる特殊設定ミステリ「Butterfly World 最後の六日間」

「珈琲館タレーラン」シリーズの著者
岡崎琢磨さんの本格ミステリー作品
「Butterfly World 最後の六日間」を
読みました。

斬新すぎる特殊設定の本格ミステリーであると
同時に、心に深い傷を受け、引きこもりになって
いた女性が再起を果たす青春小説でもある。

あることがきっかけで、引きこもりに
なってしまったアキは、VR空間に
自分の居場所を見つけた。

蝶の羽を持った人間のアバターが
生活するVR世界、「Butterfly World」だ。

そこは「非暴力」が徹底され、傷つくことはない。
友達になったマヒトとともに、
思う存分この世界を堪能していた。

本当はログアウトせずにずっとこの世界に
いたいと思うが、現実で食事や排せつ
をしなければならず、アキはもどかしい
思いを抱いていた。

ある時、ログアウトぜずにずっとこの
世界で暮らす人々がいることを知った
アキは、マヒトと一緒に彼らの住む
「紅招館」を探し出す。
アキはある事情からそこで暮らすことを
願うが・・・・。

しかし、突然の地殻変動で館の周りが
越えられない壁で囲まれる。
アキたちが館に住み始めたとたん、
住人たちが次々と死体で発見される
非暴力が徹底されているはずの
VR世界でいかにしてに殺人が成立するのか?

緻密な設定を施されたVR空間で起きる連続殺人事件。
この独特なクローズドサークルの設定が
凄すぎて、驚きの連続。
VRの世界と現実の世界を往復できる
というアイディアに絶句!

さらに読者への挑戦状!
練り練られた謎と伏線、それは簡単には見破れない。
解答編の伏線の回収は鮮やか過ぎてやられた感は
半端ない!

たった一つ、アキが引きこもりになって
しまったくだりを読んだ時は切なくて
苦しくなった・・・。

ゲームはやらないし、体験型の世界も
経験したことがないが、その世界観は
十分すぎるほど伝わってくる。
ワクワクしながら読めた。
この世界を知っている人が読めば
より理解が深まり、物語を楽しめると思う。

『Butterfly World 最後の六日間』
著者:岡崎琢磨
出版社:双葉社
価格:¥1,870(¥1,700+税)

天久鷹央長編シリーズ第7弾「久遠の檻」

天久鷹央シリーズの長編第7弾
「久遠の檻」を読みました。
不老不死の謎に迫る、凄すぎる展開!!

冒頭、埋められたカプセルが掘り返され
そこから、ミイラが現れる!

かつて、アイドルとして活躍していた
少女・楯石希津奈が十五年以上の時を
経て、全く同じ容姿で天医会総合病院
に救急搬送された。

彼女を診たのは、精神科部長の墨田淳子。
あまりにも変わらないその姿に衝撃を
受けた墨田は、統括診断部の天久鷹央に
診察を依頼する。

鷹央の指示で頭部の写真を撮り、さらに
検査をしようとした矢先、父親が現れ
強引に希津奈を連れ去ってしまった。

希津奈の頭部に気になる異変を見つけた
鷹央は一刻でも早く治療を開始させる
ため、父親と希津奈の行方を探すが・・・・。

年をとらない美貌の元アイドル。
姿をくらました希津奈の父親
掘り返されたミイラ化した遺体。
そして、希津奈の頭部に見つかった
異変と希津奈の自殺、そして復活。
ありえない現象と謎が次々と起こる

それらを統括診断部のメンバーが
危険を冒しつつ踏み込み、真相を
暴こうと奔走する。
(かなりの確率で鷹央の無理強いと
舞のハイテンションに小鳥遊が巻きこまれる
という毎度おなじみのパターン)

不老不死の謎が医学的に解明される
くだりは驚きの連続!
ほ、ほんとにこんなことが出来るの?

そして、人間の暗い「欲望」と底知れない
「悪意」に小鳥遊や鷹央と同じような
気持ちになった。

それでも、空気が読めず、同調性に欠ける
天久鷹央が巻を重ねるごとに成長してゆく
姿が唯一の救い。

『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』
著者:知念実希人
出版社:新潮社(新潮文庫nex)
価格:¥781(¥710+税)