爽快感がたまらないコミック!「ミステリと言う勿れ①」

読書会に参加されていた方から紹介され読みました。
こんな漫画は初めてです!!
ものすごく面白かった。

漫画家の田村由美さんと言えば、名作「巴がゆく!」や
名作「BASARA」の著者。

そんな田村さんの新作は、へんてこりんな頭が特徴の
大学生、久能整が独自の理論と推理で警察官や犯罪者を
煙に巻く、「ミステリと言う勿れ」。
現在4巻まで発売中。

第1巻は….

ある冬の日、アパートでカレー作りを楽しむ
大学生・久能整(ととのう)のもとへ刑事が現れた。

近隣で殺人あったという。殺されたのは整の同級生。

任意同行された整に殺人容疑がかけられた!
次々に容疑を裏付ける証拠が付きつけられてゆくが…。

警察の矛盾をついてたんたんと推理を展開する整。
さらに、正確な理論武装で警察官を唸らせる、エピソード①。

本日が最終日と言う美術展を観にゆくため、
バスに飛び乗った、整。
しかし、しばらく走るとバスは美術館とは全く違う
方向へ向かった。
乗客たちが騒ぎ始めると、突如男が凶器をちらつかせ
バスジャックだと言った。
犯人の身勝手な発言に、一人「異」を唱える男・久能整。

自らの危険を顧みず、犯人たちの非道を質す。
エピソード②前編。

その姿がたまらなくかっこ良く、爽快な気分にしてくれる!

新たなヒーロー、解決解読青年・久能整 颯爽と登場!

『ミステリと言う勿れ①』
著者:田村由美
出版社:小学館(フラワーコミックスアルファ)
価格:¥429

本屋さんは「謎」がいっぱい!「レジまでの推理」。

似鳥鶏さんの「レジまでの推理 本屋さんの名探偵」は
書店を舞台にした‘ほんわか’ミステリー。

書店に勤めていても、お客様からの問い合わせは
時に「ミステリー」と感じることもあります。

「7冊で海を越えられる」「全てはエアコンのために」
「通常業務探偵団」「本屋さんよ永遠に」
の4作品が収録されていて、どれもとっても面白い。

海外赴任が決まり、彼女に相談もせずに
それを決めちゃった男性。喧嘩別れした後、
彼女から送られてきた本の内容にボーゼン!
一体どういう意味なのか?
懇意にしていている本屋さんに相談するが…。
本のタイトルが暗号化。秘密のメッセージを解読できるのか?
「7冊で海を越えられる」

大学生の男性が引っ越し先で大好きな作家のサイン本が
行方不明になったので、もしかしたら手伝いをしてくれた
友人が持って帰ったのでは?と思い、友人がバイトをしている
本屋さんにやってきた。彼は友人が持ち去ることは
不可能だと言うが….。スタッフたちは様々な推理を展開する。
ラストはちょっと切ない。
「全てはエアコンのために」

カリスマ人気作家のサイン会が開かれた。作家はその書店に勤務
するバイトの友人ということでサイン会を快く引き受けた。
無事にサイン会は終了。ところがその後からお店のポスター等に
気味の悪い嫌がらせが始まった…。
「通常業務探偵団」

POPばかり書いている店長さんの謎解きが圧巻ですよ~。
本にまつわるミステリー。こんなに「謎」があるなんて!
読んでいて「なるほど~」と膝をうちました。
それから、書店用語のミニ解説が面白いです。

万引きに、悪質な嫌がらせ・・・次々と不穏なことが起こる
書店。最近店長に元気がない・・・。そんな時に小火騒ぎが
起こった!「本屋さんよ永遠に」

この章は本が好きなすべての書店員の悲痛な叫びが描かれて
いる。書店員が読むと実際のそうなんだと叫びたくなると同時に
でも本屋は決して無くならないと信じたくなる。っていうか
信じてる。
「本も好きだけれど、それとは別に本屋が好き」「本屋さんで
欲しい本を見つける」というセリフに涙が出てしまいました。

『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』
著者:似鳥鶏
出版社:光文社
価格:¥1,300(税別)

今度は江戸にドローン!?「大江戸科学捜査 八丁堀おゆう5」

はまさきの大好きなシリーズ最新作が出ました!
「大江戸科学捜査 八丁堀おゆう ドローン江戸を翔ぶ」です。

いったいどうやって江戸の町にドローンを飛ばすのか?
ワクワクものです~。

江戸と現代を自由に往来する、元OLの関口優佳。
江戸ではおゆうと名乗り、いつのまにか女親分として
江戸で起きる難事件を現代の科学捜査で解決に導く。

江戸では大店を狙う連続蔵破り事件が起こっていた。
おゆうも、南町奉行所の伝三郎らとともに
張り込みを続ける毎日だ。
そして、とうとう強盗を追いつめた!しかし
まんまと逃げられてしまう!

なかなか事件の核心に辿りつけず、強盗には翻弄され
今回ばかりは伝三郎もおゆうも頭を抱えていた。

そんな中で、おゆうは証拠品を集め、現代に戻り
科学分析ラボの友人・宇田川に分析を依頼していた。
ところが、今回はラボの事情で分析が不可能に!

やがて宇田川がとんでもないことを言いだした!
「俺が江戸へ行って調べる!」と・・・・。
そして、宇田川は江戸へドローンなど最新機器を
持ち込み捜査に協力することに。

おゆうはハラハラしながらも、江戸での宇田川の
捜査ぶりを楽しむことにした。

おゆうと伝三郎、さらに岡っ引きたちの調べで
次第に見えてくる事件のからくり・・・。
やがて、事件の関係者として将軍家斉の側近・
林肥後守の存在が浮かびあがってきた・・・。

江戸で科学捜査!?とんでもない展開に毎回驚く!
そして、今回はドローンまでとびだした。
いかに飛ばしたのか?それは読んでみないと
わからない!!

面白さぶっちぎりの大江戸捜査ミステリー!

『大江戸科学捜査 八丁堀おゆう ドローン江戸を翔ぶ』
著者:山本巧次
出版社:宝島社
価格:¥600(税別)

KYキャリア刑事が活躍「生活安全課0係」シリーズ最新刊「エンジェルダスター」

生活安全課0係」は小泉孝太郎さん主演でドラマ化されました。
この夏はセカンドシーズンも放送され大好評!!
そしてタイミングよく新刊「エンジェルダスター」も発売。
既刊本も全部読み、待ちに待っていた新刊です。

読み始めると、小早川警部のイメージはもう
小泉孝太郎さんしか浮かばない~。

そんな生活安全課0係、通称「なんでも相談室」に相談が舞い込んだ。
新聞記者の笹村に奇妙な脅迫状が届いたので、
調べて欲しいとの事だった。
笹村は、5年前ある女子生徒がイジメの加害者ととれる記事を
書き自殺に追いやってしまったことがあった。
当時、その女子生徒の父親から、娘が生まれたら殺すと脅され、
去年、娘に恵まれたがその復讐を恐れていた。

同じ日、吉永という年配の女性が、自分の友だちの孫が
行方不明になっているので捜してほしいと相談に来た。
吉永は以前、小早川にとても親切にしてもらい、
警察に相談するならここだと決めていたらしい。
だが、行方不明の孫はすでに24歳の青年で話を
聞くととんでもない悪童だったようだ。
それでも溺愛する孫だから、どうしても捜して
ほしいとのことだった。

さらに、町内会の相談事だ。隣家の住人が、自分の家の敷地内に
夜ごみを捨てるから辞めて欲しいと訴えたが、隣家の住人は
そんなことをしていない言い張り険悪な状態になっているというのだ。

小早川警部ほか生活安全課0係のメンバーたちはそれぞれ
捜査をすることに・・・。

調べれば調べるほど謎に包まれる3件の相談事・・。
果たして彼らは真相に辿り着くことができるのか?

またまた小早川の洞察力と推理が冴える!シリーズ最新作。
めちゃめちゃ面白いです。

『生活安全課0係 エンジェルダスター』
著者:富樫倫太郎
出版社:祥伝社
価格:¥630(税別)

気分爽快になれるミステリ!「バック・ステージ」

追いつめられ、やがて崩壊してゆく人間の心の過程を
リアルに描き出してきた、芦沢央さん。
「悪いものが、きませんように」「許されようとは思いません」などは
その代表作だと思う。

しかし今回描かれた「バック・ステージ」は、著者の新たな
魅力が引きだされた!!
シリアスな物語にコミカルなテイストをミックスした、
著者の真骨頂!

ある夜、新入社員の松尾は、先輩の康子がパワハラ上司の
不正の証拠を探している場面に遭遇してしまった!!
そして強引な康子に片棒を担がされることになり、
翌日、上司の不正を暴く証拠をまんまと手に入れる。
しかし、ひょんなことからその証拠を入れたバッグを
女子高生に持って行かれてしまう。
焦った二人が女子高生の後を追うと、中野の劇場に行きついた。
その劇場では、松尾たちの会社がプロモーションする人気演出家の
舞台が始まろうとしていた・・・・。

開演前の舞台の裏側で起きた小さな事件。
それを軸として関係者たちの人間ドラマが連作で描かれる。

息子を思う、離婚したばかりのシングルマザーの複雑な心理。
再会した大学生、男女二人のすれ違う心の揺らぎ。
脅迫状に怯える新人俳優の恐怖と焦燥感。
認知症の兆候が表れた大女優。その秘密を守ろうとする
マネージャーの心の葛藤・・・。

舞台の周辺で、4つの事件が同時多発的に起き、
勘違いとトラブルが次々と発生してゆく・・・。
その多彩なシチュエーションで描き分けられる人間心理。
その描き方の上手さに舌を巻く!

さらに、バラバラだった4つの事件は、松尾と康子の
コミカルな追跡劇によって繋がっていく・・・。
それらが見事に繋がったラストに、思わず唸る~。
読後は思い切り「気分爽快」になれるミステリーです。

本を買った人だけが「すぐに」「必ず」読めるお楽しみ掌編、特別収録です。
(詳しくは本作品カバー裏をご覧ください)

『バック・ステージ』
著者:芦沢央
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,500(税別)

本の学校で「意外な組合せが面白いミステリー」ミニフェア開催パート1

組合せ次第でものすごく面白くなっているミステリー作品を集めました。

誰も考えつかなかったコンビで事件を追うヴァージョンでは、
最も面白いと思った作品が、
五十嵐貴久「相棒」(PHP研究所 文庫)
新撰組の土方歳三とあの坂本龍馬がコンビで
徳川慶喜暗殺未遂事件を追う。
土方にとって坂本は宿敵!ところがそんな宿敵に
出会っても、坂本は土佐弁でまったり。土方は
血管切れそうになるくらいイラつくけれど、
まったりだが頭が切れる坂本を次第に信頼するようになる。
幕末オールスターを配し、意外過ぎるコンビが活躍。
一番のおススメ!

日本警察史上初捜査に導入された昆虫博士にによる捜査。
川瀬七緒「法医昆虫学捜査官」シリーズ(講談社文庫)は
死体から発生した昆虫の生態を調べ、そこからさらに正確な
殺害日時や殺害場所などを特定し、法医学者と連携して
殺人捜査を行う。その法医昆虫博士は、なんと虫オタクの
女性。猪突猛進で徹底的にKY(空気読まない)の性格が
災いし、警視庁上層部からは変人扱い。そんな彼女と
コンビを組むのはベテラン強面刑事。
その性格に辟易しながらも、女性昆虫博士をサポートする。
絶妙のコンビだ。

物語の設定が面白いミステリーでは、
時代小説のミステリーが面白い!今一番のおススメは、
山本巧次『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』シリーズ。
平成の元OL女性が、江戸時代と平成を自由にタイムトラベルし
江戸で起こった様々な事件を、平成の科学捜査で解決する。
江戸の情緒がたまらない。タイムスリップものということで、
SF時代ミステリーというところ。
主人公の謎の解明のくだりにいつも舌を巻く!!

まだまだあります~。
次回に続きます!!

タイムスリップ時代捜査ミステリー「八丁堀のおゆう」第3弾が面白い!

江戸時代を舞台にした時代劇ミステリー「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」の
第3弾が発売されました。
ただの時代小説ではありません!江戸で起こった殺人事件を
現代の科学捜査で解決する。
主人公のおゆうは平成に生きる女性で、自宅にはなんと
タイムトラベルが出来る秘密の場所がある。
そして、殺人事件の証拠物件を現代に持ち帰り、
分析ヲタクの友人の勤める化学分析ラボで調査する。

この凄い発想が面白くて、シリーズにすっかりはまりました。
第3弾は「千両富くじ根津の夢」です。

おゆう③

平成の現代と江戸を往復する2重生活を営む
元OLの関口優佳。江戸ではおゆうと名乗っていて
なぜか頼りにされている。

ある日おゆうは、近所に住む金物細工師・猪之吉の妻、おせいから、
旦那が女と逃げて家にもどってこないから探して欲しいと頼まれる。
おゆうは、ちょっとうんざりしながらも引き受けることに。

何か手がかりは?と番屋に向かったおゆうは、そこで源七親分に出会う。
源七親分は、大枚はたいて富くじを買ってしまい、おかみさんに怒鳴られてしまう。
根津・明昌院で行われる富くじは、史上最高額。江戸ではその話で盛り上っていた。

そんな時、呉服商の大店に盗人が忍び込み、千両箱を盗まれてしまう。

同心の鵜飼伝三朗に捜査能力を買われているおゆうは、今回も
盗人事件の捜査に加わることに。
同心・鵜飼、源七親分、さらに、女だてらに十手を扱うおゆうにやたらと厳しい、
ベテラン岡っ引き・茂三を加え荒らされた現場を検めると、
その鮮やかな手口を見て、一人の盗人の名前があがった。
その名は、「疾風の文蔵」だ。
だが、文蔵は七年前に八軒の蔵を破り、そのまま行方がわからなく
なっていた。しかし今回の事件で、文蔵が戻ってきたと確信する。

一方、おゆうは、長屋のおせいから依頼された旦那探しと
並行して、盗人事件の捜査も続けることに・・・。
現場に残った証拠品とあっさり破られた和錠を持って
現代のタイムスリップし、現代科学を駆使し伝三郎と
とともに捜査を続けるが・・・・。

今回の事件、なかなか犯人に辿り着かない。
そんなとき、一人の岡っ引き・長次の怪しい動きが目立つ。
長次が度々明昌院を訪れていることを掴んだ伝三郎たちは、
その明昌院の住職の周辺を調べ始めるととんでもないことが
わかってきたのだ!!

物語の随所に点のように張り巡らされた伏線。
おゆうたちの捜査によってその点は次第に線となり、
真相に近づいてゆく。
そして、現代の科学捜査がまたしても大どんでん返しを手繰り寄せる。

情緒あふれる時代小説と本格推理の見事な融合、そしてタイムスリップと言う
SFも加味、さらにはちょっとコミカルな恋愛模様も描かれて、とてつもなく
面白い仕上がりになった「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」第3弾です!

『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 千両富くじ根津の夢』
著者:山本巧次
出版社:宝島社(文庫)
価格:¥600(税別)

横溝正史ミステリ大賞受賞作「神様の裏の顔」‘超’笑!衝撃!の展開にぶっ飛び!

2014年、第34回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作「神様の裏の顔」。
著者は、元芸人の藤崎翔さん。
選考委員の有栖川有栖氏、恩田陸氏、黒川博行氏、道尾秀介氏、満場一致!
面白すぎていっき読み!
ユーモアと謎解きの絶妙のバランスは、さすが元芸人さん。

ミステリー好きならば、江戸川乱歩賞とともに
この、横溝正史ミステリ大賞もとても気になるところ。
はまさきは単行本で読みましたが、あまりの面白さに止まらない!止まらない!

待ちに待った文庫化で、ミステリ好きでもそうでない方にも
超!おススメの1作なのです。

神様裏文庫

教育熱心で教師の鏡、神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が亡くなった。
その通夜は、ご近所さん、元教え子たち、元同僚、小学生の一団まで
たくさんの人が参列。
悲しみに包まれ、誰もが涙し、それぞれの人たちが故人に対して
様々な思いを抱いていた。と同時に故人の思い出が甦ってきた。

元教え子は、友人が自殺した時に先生が言った言葉を忘れることが出来ない。
ご近所に住んでいた老女は、認知症の夫が徘徊することで悩み、先生に相談した。
その後偶然にも事故死・・・。
元同僚は、息子の非行に悩み先生に相談したところ、その後偶然にも
バイク事故で寝たきりに…..。

え…..え……え~~~~~ッ?????

参列者たちが「神様」と偲ぶ中、とんでもない疑惑が。
そして、誰からともなく「この人に限ってそんなことはないよな…。」
という一言で、それぞれ自分たちが気づいてしまった疑惑を話し出した。
実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか…..?

日常に良くある出来事の寄せ集めがとんでもない事件に繋がっていた!?
絶妙なタイミングで醸し出されるユーモアのセンス。
そして、謎の提示、二転三転する彼らの推理、衝撃の真相というミステリ的展開。
さらに、人間の心の闇。それらすべてが見事なバランスで描かれていて、
とんでもなく面白い!

処女作とは思えない、「超」ぶっ飛びの面白さです!

『神様の裏の顔』
著者:藤崎翔
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥680(税別)

暴れん坊「警視総監」が登場!「マル暴総監」

今野敏先生の大人気「マル暴」シリーズ最新作です。
大爆笑!「マル暴総監」。

シリーズに新たなキャラ登場!
さらに、「任侠」シリーズでおなじみの阿岐本組の代貸・日村も
登場し、ファンにはたまらない展開です!!

マル暴総監

北綾瀬署、組対係りの巡査部長・甘糟は、いわゆるマル暴刑事だ。
だが、本人は体が小さく気も小さい、しかも顔は優男風で
とても暴力団相手の刑事など務められるはずはないと思い込んでいる。
だから、毎日毎日嫌々な思いをしながら仕事をしていた。
しかも相棒は、コワモテの先輩刑事・群原だ。
群原は、ヤクザと言っても通る。
半グレやチンピラからは怖れられている。

ある日の寝入りばな、群原の電話でたたき起こされた甘糟は、
チンピラ同士がにらみ合っている現場へ急いだ!
地域課の連中に任せておけばいいのにと思いながら。
だがそう思っていたら、組員かも知れないだろ!と群原に怒られた!

チンピラどもがにらみ合っている現場で、そろそろ決着をつけさせようと
甘糟が割って入ろうとしたら、今時珍しい白いスーツに身を包んだ
なんとも貫禄のある男が割って入ってきた。
甘糟始め、様子を見ていた多嘉原連合の構成員である唐津や、
阿岐本組の代貸・日村も何事かと訝しむ・・・。
しかし、変な風に話がこじれては大変!と甘糟はその男にも
注意を促しその場を凌いだ。

その後、その白いスーツの男は、そういう危ない現場で度々目撃される。
甘糟をはじめとする組織犯罪対策課や、暴力団の組員たちも、
白いスーツの男の素性を調べるが、誰もその正体を掴むことが出来ないでいた。

そんな頃、殺人事件が起こる。
先日、甘糟の目の前でにらみ合いをしていたチンピラが殺されたのだ。
殺されたチンピラと揉めていたのは、多嘉原連合の構成員らしい。
揉め事がエスカレートしての殺人なのか・・・?
甘糟は、群原に言われ一人、マル暴の事務所へと向かった。

その事件は特捜本部が出来ることになり、管理官、北綾瀬署署長、
警視庁捜査一課課長等お偉方が並ぶ中、なんと!警視総監も臨席したのだ!
捜査員たちは一体何が起こったのかと、緊張のあまり声も出ない!
だが甘糟はその警視総監の顔を見た時に、あまりの衝撃にその場に
倒れそうになる!!!!

もうおわかりですよね!白いスーツの貫禄のある男が誰なのか・・?
そうなのです!!!それは〇〇。
そして甘糟はその男の動きに大弱り・・・
何で「正義」を掲げて危ない現場にいくかなあ~。

このありえない展開がめちゃめちゃ面白くて面白くて!
さらに特捜本部は、容疑者は白いスーツの男だ!追え!なんて
全く筋の違う方向へ持って行こうとする。
そこへ、群原がかっこよく「白いスーツの男は容疑者とは違う」
と言ったものだから益々反感を買われ・・・?

一体どうなるこの事件。
収拾はつくのか・・・・!
前代未聞のラストに大爆笑~~~~。
またもや、今野先生がやってくれましたよ。
面白すぎる~。

『マル暴総監』
著者:今野敏
出版社:実業之日本社
価格:¥1,600(税別)

生活安全課0係第4弾!益々冴えるKY刑事の推理「スローダンサー」

「生活安全課0係」の最新刊「スローダンサー」が
発売!KY刑事・小早川の推理が益々冴えわたる!
第4弾です。

スローダンサー

以前、電車の中で死にそうな女性を救ったことが
あった小早川。その女性は小早川のアドバイスで
今は生き生きと充実した日々を送っていた。
ところが、ある日その女性が友人を連れてきた。
その友人は最近、親友を焼身自殺で亡くしたことで
悩み、苦しみ、せっかく決まった仕事にも行けないという。
親友が自殺したことにどうにも納得がゆかず、
生活安全課0係に相談にきたのだった。

小早川は、まず焼身自殺という点に引っ掛かりを感じた。
自殺のやり方としてはそうめったにあるものじゃない・・・。

だが、その親友は性同一性障害で体は女性だったが、
心は男性で、見た目もほぼ男性にしか見えなかったという。
そういう特殊な理由と遺書が見つかったことで、警察で
自殺と断定されたらしい。

しかし自殺だとは思えない!その女性の心からの叫びと
親友を失い生きる目的すら無くし、引きこもっている
女性を気の毒に思った小早川は調査することに。

調べてみると、意外なことがわかった。
その性同一性障害の女性は、心が男性でありながら
自殺する前に性交渉の痕跡があったという。
心は男性なのに、男性と関係を持つだろうか・・・?
さらなる不審を募らせた小早川は相棒の高虎とその女性の
人間関係を洗いだしてゆく・・・。

警察がすでに自殺だと断定した事件を洗い直すのは
容易には行かない。だが小早川は奥の手を使って
再度、捜査出来るように手配した。

やがて浮かびあがってくる、女性の周辺・・・・。
一体彼女の身に何が起こったのか!?
あまりにも衝撃的で悲しく切ない結末に泣ける!!!

シリーズ4作目ともなると、小早川ってほんとに優しいやつで
まっすぐなやつだということがよ~くわかります。
でも、ややこしい人間関係の解決は出来そうにないみたい・・・・。

まだまだ続きが読みたいけど・・次はいつ出るのでしょうか?

『生活安全課0係 スローダンサー』
著者:富樫倫太郎
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥630(税別)