新章開幕!「紅霞後宮物語」第9幕

小玉と文林の物語も、第9幕へ突入しました。

8幕では、小玉と文林の宿敵・司馬氏の
追放、その娘・司馬淑妃が息子・鳳に
殺害されるいう前代未聞の事件で、
政敵の粛正に成功したかに見えた。
しかし・・・・。

司馬淑妃の死、その息子・鳳の死。
さらに、小玉と後宮を支え続けた
梅花も亡くなったことで、後宮の規律は
乱れ、皇后・小玉の負担が増えていた。

そんな小玉を支えたのは、紅燕と真桂だ。

司馬氏が追放され、新たな政敵が動き出す
前に、文林の政権を確固たるものにする。
そのために、小玉が育てた鴻を立太子に決める。
しかし、鴻は立太子を承諾しない。
小玉と別れて暮らすことになるからだ。
文林は覚悟を決め、鴻を説得することに・・・。

その陰で、小玉に反旗を翻す妃嬪が現れる。
また、鳳についてのある噂が後宮で囁かれる。

次々と二人に難題が降りかかる。
またぞろ、きな臭い事件が起こる予感が・・・・。

しかし今回のことで、小玉は真の友を得るのだ。

後宮は小玉の敵となるか?味方となるのか?
文林を支えると決めた小玉が新たな絆を紡ぐ!

益々面白くなる、後宮小説の傑作シリーズ!

『紅霞後宮物語 第九幕』
著者:雪村花菜
出版社:富士見L文庫(KADOKAWA)
価格:¥600(税別)

引き裂かれた王と麒麟は!「十二国記 黄昏の岸 暁の天」

十二国記シリーズのなかでも、戴国と慶国の
お話が読める貴重な巻。
しかもこの物語は、泰麒が蓬莱(日本)に
戻ってしまってから、戴国がどのように
荒廃していったのかを描いている。
つまり、「魔性の子」のもう一つの物語だ。

泰王驍宗と泰麒が行方不明になった戴国は、
逆賊たちに支配され、荒れに荒れていた。
妖魔が跋扈し村は次々破壊され続けていた。

戴国の将軍・李斎は、逆賊たちと闘い続けた。
しかし仲間は次々と逆賊に寝返り、李斎は
孤立無援になりつつあった。
戴国を救うため、李斎はある決心をする。

慶国の王・陽子は、戴国から命からがら
逃げてきた李斎を保護した。
李斎は、陽子に援助を求めてきたのだ。
何とかして戴国を救いたい・・・!
李斎の悲痛ともいえる叫びに陽子は応えようと
決心する。

陽子の要請を受け、各国の麒麟たちが慶国に集う。
延麒は、泰麒のかすかな気配を蓬莱で感じ取っていた。
麒麟たちは泰麒の行方を探す・・・。
果たして泰麒は行方は・・・?

戴国を救うという、李斎の強い思いは、やがて
天帝が作られたという「十二国」のあり方に
疑問を呈す。なぜ?あれほど国を民を思う王と
麒麟を戴国民から奪ったのか・・・!?
なぜ、なぜ・・・?

心を抉る、奥の深い物語に感銘を受ける。

さらに、初登場の氾王と氾麟が強烈!
延王と氾王とのかけあいがまるで漫才!?
そういう一息つけるところも面白い!

そして2019年に発売されるという新刊長編は、
「戴国」の物語と聞いている。楽しみだ~。

『黄昏の岸 暁の天 十二国記』
著者:小野不由美
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥710(税別)

もう止まらない面白さ!「羽州ぼろ鳶組 菩薩花」

本屋大賞ノミネート作品読書の合間に、ついつい
手に取ってしまってそのまま一気呵成に読了しました。
大好きなシリーズ「羽州ぼろ鳶組 菩薩花」。
すでに7巻まで発売されているので、
あと2冊で追いつく感じです。

江戸では火消番付への関心が高く、お家の評判にも
繋がる。
火消番付の噂がそろそろ江戸庶民の間でささやかれる頃、
ぼろ鳶組・松永源吾は、無謀なやり方で他の火消から
手柄を奪おうと悶着を起こしている男を目にする。
その男は、仁正寺藩火消の柊与一だった。
柊与一の蛮行は、やはり番付のためなのか・・・?
たかが番付・・・。松永は胸に苦い思いを抱く。

そんな頃、火事専門の読売書きの文五郎は、不審な
火事場に遭遇する。火消しによる付け火か?
その後、文五郎が行方不明になってしまう。
父、文五郎を心配し行方を探す息子・福助・・・。
事情を知った松永たちは、真相究明に乗り出した。

そんな彼らの前に現れたのは、火事で親を失った
子ども救い、一人前の火消に育て、「菩薩」と
崇められている八重洲河岸火消・進藤内記だった。

いつもながら、火事場での奮闘シーンは圧巻だ。
しかも今回は、火消たちの壮絶な手柄争いも描かれる。
番付アップのために火事場をおろそかにする輩に、
命懸けのぼろ鳶組らは怒り心頭だ!
さらに人さらい、そして火消による付け火の疑い・・。
一体誰の仕業なのか?
その謎を追うミステリチックな展開と、現代で言う
サイコパスと松永との対決も読み応え十分!
最後の最後まで読ませる、泣かせる!止まらない面白さ!

『菩薩花 羽州ぼろ鳶組』
著者:今村翔吾
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥740(税別)

背筋が凍る・・・。企業小説「七つの会議」

映画公開中の「七つの会議」の原作本、
池井戸潤さんの「七つの会議」(集英社)を読みました。
とても面白くていっき読みでした!映画も好評のようです。

ある中堅メーカーの営業部。花形と言われる営業一課の
トップセールスマンでエリート課長・坂戸がパワハラで
社内委員会に訴えられた。

訴えたのは、日頃から勤務態度に問題のある
年上の部下・八角だった。
非があるのは問題のある八角の方で、エリートの坂戸は
不問にされると誰もが信じていた。しかし・・・
役員会で下されたのは、信じられない人事だった。
二人の間には何があったのか?

坂戸の代わりに営業一課の課長に任命された
原島は事態の収拾を命じられる。

問題となったメーカーに勤務する7人の物語から
やがて明らかになる、隠蔽された恐るべき真実!
会社に蔓延る「闇」に迫る!

エリート課長のパワハラ事件に関する不可解な人事
という謎をもたせ、その謎を明らかにしようと調査
を始める社員たちに思わせぶりなセリフで阻止する
幹部たち・・・。
まるでミステリー小説のような展開で、読者も
その謎を知りたくてグイグイと読ませられる。

小説の面白さもさることながら、日本の企業の
歪みに鋭く斬り込んでいる!

過去、世界に名を馳せた日本のメーカーがなぜ
失速し、競争に敗れていったのか?
この小説を読むとわかるような気がする・・・

映画も観に行くぞ~。

『七つの会議』
著者:池井戸潤
出版社:集英社(文庫)
価格:¥800(税別)

実は、愛にあふれている!「愛なき世界」

本屋大賞ノミネート作品、三浦しをんさんの
「愛なき世界」を読みました。

とっても素敵な作品です。

植物をこよなく愛す、女子大生・本村紗英は、
さらに研究を続けるため、T大学の大学院を受験する。
見事合格し、新たな仲間と植物研究に没頭する!

子どもの頃から料理が大好きだった、藤丸陽太は、
T大学近くの洋食屋で見習い中だ。

そして、T大学院の植物研究室へランチの配達に
行くうちに、本村紗英に恋をしてしまう。
しかし本村は、三度のご飯よりも植物(特にシロイヌナズナ)
研究が好きときている。

藤丸は勇気を出して、本村に告白するが~~~。

本村はじめ、いつも黒ずくめで超クールな教授、
その先輩でイモの研究に命をかける老教授、
サボテンを巨大化させる後輩など。
地味で地道な研究に情熱を燃やす人たちの生き方に
共感する!
変わり者だけれど、心優しき人たちが織りなす、
心温まる人間模様に癒される。

「愛」とは何だ!?人間同士の恋だけが愛なのか?
いやいやそうではないだろう・・・。
大好きなことをとことん突き詰めることもきっと
「愛」に違いない・・。

ある意味切ない!でもとても幸せな気持ちになれる
「愛」にあふれた作品です。

『愛なき世界』
著者:三浦しをん
出版社:中央公論新社
価格:¥1,600(税別)

大人気!「後宮の烏」第2弾『後宮の烏2』発売!

シリーズ化を期待していた、白川紺子さんの
『後宮の烏』(集英社オレンジ文庫)。
第2弾が発売されました。

嬉しい~~~~。

後宮の妃でありながら、決して帝とは情を交すことのない
特別な妃・烏妃。

しかし、ある事件がきっかけで、時の皇帝・高峻と
出会い、彼らは「友」となった。
高峻の周りでは、烏妃と会うなど不吉だと言う。
しかし、高峻はなぜか烏妃・寿雪と話をすると
心が癒されるのだった。

第2弾の内容は、少年宦官の幽鬼出現の謎、、
自殺した妃に仕えた宮女の幽鬼の訴え、
烏妃暗殺未遂、妃付宮女惨殺事件など、
烏妃・寿雪がその謎を暴く。

幽霊・ゾンビ・妖怪・謎の仮面など
次々と異形のものが現れる!

不気味で謎めいた事件の数々は、この物語の雰囲気に
ぴたりとあてはまり、他の後宮小説と比較して
異彩を放っている。それがこの作品の際立った魅力で
そこにはまってしまう。

また、烏妃・寿雪を気づかう皇帝・高峻のさりげない
優しさが胸キュンだ。
決して「恋」に発展させてはならない、二人の関係。

烏妃をしばる「烏漣娘娘(にゃんにゃん)」とは
何か?
そして、烏妃暗殺を目論んだ、烏漣娘娘が恐れる
「梟」とは何者か?

数多の謎を残し、物語第3弾に繋がるか!?

『後宮の烏 2』
著者:白川紺子
出版社:集英社(オレンジ文庫)
価格:¥620(税別)

慟哭の展開!羽州ぼろ鳶組シリーズ第4弾「鬼煙管」

羽州ぼろ鳶組シリーズ第4弾「鬼煙管」を読みました。
言葉に尽くせぬ面白さ!

京都で起こる奇怪な連続殺人を止めるため、
長谷川平蔵が最も信頼する、江戸の火消し、
松永源吾を京都に呼んだ。
松永は武蔵、星十郎とともに京都に赴く。

その京都では、葬儀の最中に死体から発火し
火事になったり、生身の人間から突如火が発生し、
大やけどを負い死んでしまう!という事件が
次々と起きていた。

京の人たちは「妖怪」の仕業だと言い、誰も
近寄らず、助けようとしない。
江戸とはあまりにも違う民衆心理に、松永たちは
とまどうばかり。

さらに、長谷川平蔵も京都の奉行所のあり方に
憤りつつ、その中でも必死に己の職を全うしようと
していた。そんな長谷川の姿に部下たちの心も動く。

奇怪な事件の犯人を捕らえようと必死に動く平蔵。
不気味な火事をとめるために、松永らは奔走する。
やがて、浮かびあがってきた犯人像。
だが、その陰には京都西町奉行の長谷川でさえ
手出しすることの出来ない大物の存在があった。

哀しい過去を持つ平蔵の息子・銕三郎は、悪を絶対に
許すことは出来ない。その想いが先走って、父・平蔵や
松永とも衝突することがしばしばあった。

京で繰り広げられる不気味な火付と殺人事件を、
松永・平蔵親子・武蔵、星十郎が追う!

シリーズ史上最もミステリー性が高い作品で
謎解きの部分もとても面白かった!
そして、2巻「夜哭鳥」との繋がりも興味深い。

次は第5巻を読みます。

『鬼煙管 羽州ぼろ鳶組④』
著者:今村翔吾
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥700(税別)

残虐非道盗賊VS.ぼろ鳶組!シリーズ第3弾『九紋龍』

大好きなシリーズ、「羽州ぼろ鳶組」第3弾は
「九紋龍」です。最強の男が登場します。

大阪で悪辣な強盗を追いつめるため、火付盗賊改の
長谷川平蔵は、京都から大阪へ出張っていた。
だが彼らは平蔵の動きを察知、江戸へと向かった。

江戸では、火事と非道な押込み強盗が続けて起こっていた。
その奇妙な偶然に、星十郎らは火事を起こし、その隙に
皆殺しの押し込み強盗を働いているのではと疑う。
長谷川平蔵が負っていたのは、その残虐非道な強盗集団・
千羽一家だった。

そんな中、新庄藩火消・通称〝ぼろ鳶〟組頭・松永源吾は
火付けを止めるべく奔走する。
だが藩主の親戚で、御連枝様こと戸沢正親は、国元の領民や
藩の財政事情から火消の削減を宣言。
正親の嫌がらせとしか思えないような態度に、松永は怒り心頭となる。

一方現場では、九頭の龍を躰に刻み、町火消最強と
恐れられる「に組」頭〝九紋龍〟こと辰一の乱入で
大混乱に陥っていた。
なんと辰一は野次馬狩りをおこなっていたのだ。
辰一はなぜそんなことをするのか?

次々と起こるピンチ!絶対的な危機に、どうなる!?ぼろ鳶組!

極悪な押込強盗軍団とぼろ鳶組の闘いに、新之助の剣が悪を斬る!

そして、九紋龍こと辰一の熱き火消魂が加わり、
怒涛の消火シーンは圧倒的な臨場感!

果たして千羽一家を捕えることが出来るのか?

ぼろ鳶組の支えは、松永源吾の妻、深雪だ。
今回の深雪の働きには舌を巻く。
また夫婦の間には新たな展開が!
強盗と火事・・・。すさまじい闘いのあとの心の癒しは
やはりこの二人のエピソード・・・。

巻を追うごとに面白さが増してゆく、羽州ぼろ鳶組シリーズ。
第4弾もほぼ読了!

『九紋龍 羽州ぼろ鳶組③』
著者:今村翔吾
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥700(税別)

小玉・文林、二人はどうなる!?「紅霞後宮物語 第零幕三 二人の過誤」

大好きなシリーズ、『紅霞後宮物語』シリーズ外伝
『紅霞後宮物語 第零幕』。若き日の小玉と文林の
物語ですが、第3巻目に突入。

武官として順調に昇進してゆく小玉。
新たな人たちとの出会い、初恋の人との
再会、愛する兄の死・・・。
小玉の環境はめまぐるしく変化していった。

そんな中、小玉と文林は上官と副官として
息が合い、良好な関係を保っていた。

しかし、小玉にまたも異動の辞令が下る。
行先は小玉の実家にも近い僻地だった。
それは、左遷ではないのか・・・?

小玉の突然の異動と、それが左遷であると知った
文林は、怒り狂って大酒を喰らってしまう。
一緒にいた小玉は、文林の怒りをなだめようと
するが、一緒になって飲んでしまう。

そして翌朝、二人は全く記憶のないまま同じ
寝台で目を覚ましてしまった・・・・!

あってはならない、上司と部下の過ち・・。

そのことがあってから、二人に関係は急激に変化し・・・。

小玉にとって、さらに試練が続く第3巻。
読んでいると切なくなってしまう。

このあと二人はどうなるのか?
早く続きが読みたくなる!

『紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤』
著者:雪村花菜
出版社:KADOKAWA(富士見L文庫)
価格:¥600(税別)

心に沁みる物語「ひとつむぎの手」

知念実希人さんの「ひとつむぎの手」(新潮社)を
読みました。
読んでる途中で何度も目頭が熱くなりました。

優秀な心臓外科医を目指す平良は、
常に患者やその家族を思い治療にあたっている。

医学部内の権力抗争に巻き込まれることなくただ愚直に働く姿は、
上司・同僚や後輩、患者、さらにその家族からも篤い信頼を得ている。
しかし夢の実現のために心臓外科手術が数多く出来る
病院の出向を心底願っていた….。

平良は、3人の研修医を心臓外科の医局に入れることが出来たら、
その病院への出向を考えても良いと言われた。
その下心を隠しつつ3人の研修医に接するが、
あっさりと見破られ侮られてしまう。

しかし、平良の真摯に患者に接する態度や、
教授に媚びることなく患者のための手術を選ぶ事ができる決断力、
緊急時の冷静な処置などを目の当たりにした研修医たちは、
やがて、平良に対し尊敬の念を抱くようになる。

だが、平良は、一人の後輩に激しい嫉妬心を抱いていた。

読んでいて、平良の気持ちは痛いほど伝わってくる。
認められ夢を実現させたいとの思いが叶うかどうかの
焦燥感、そして嫉妬心。

心に広がるどす黒い闇に、時に飲み込まれそうになる。
そんな心に勝てるのは、自分自身だ。
平良がそれを悟った時の清々しさは、まるで自分が経験したかの
ような感じがした。

ミステリーチックな展開もあるが、医者としての平良の生きかたや、
心の成長が描かれた、素晴らしいヒューマンドラマだ。

『ひとつむぎの手』
著者:知念実希人
出版社:新潮社
価格:¥1,400(税別)